【シニアマイスター経営の知恵 85】昭和生まれと平成生まれ JAPAN・SIQ協会代表理事 金子順一 


 平成最後の4月にABCテレビが放映した番組「昭和生まれが驚いた、平成生まれはそんな事考えたコトなかった」を見る機会があった。昭和生まれのタレント10名と平成生まれのタレント30名が、司会者の質問に一斉に答える番組で、平成生まれのタレントはほとんどが大学4年卒である。

 タイトル通り、私も驚いたのは「太陽はどの方向から出るのか?」という質問に対し、平成生まれの6名が正答できなかったことである。もちろん、番組を面白くするため、ある程度やらせ的な要素もあるとは思うが、この質問に対し6名もが本当に知らなかったとしたら日本の将来はどうなるのであろうか?

 少子化が進む中、旅館・ホテルの方々とお会いすると皆さん口をそろえて、人が集まらない、そして苦労して採用した新入社員が半年で辞めてしまうなどとおっしゃる。今どきの若者は「あいさつもろくにできない」「礼儀をわきまえていない」「常識がない」「忍耐力、我慢力がない」「遅刻・欠席を平気でする」などと昭和生まれは批判する。

 しかし、採用した若者は企業の将来を担う金の卵である。いや、日本の将来を担う大切な人材であるから、辛抱して戦力となるような人財に育成しなければならない。

 平成生まれの若者たちはいわゆる「ゆとり世代」、少子化で家庭でも学校でも甘やかされてお客さま扱い。その上、「ゲーム世代」、コミュニケーションの手段はSNSである。そのため職場の固定電話に出て話すことすらできない。彼らはしつけや常識やマナーなどキチンと教えられてきていないのである。

 一方、苦労して採用した新入社員がすぐに辞めてしまうのは、配属された現場のリーダーの指導次第でもある。社員が辞める原因の70%は直属の上司にあるといわれている。多忙であり、手間とお金がかかるが、昭和生まれは平成生まれの育った環境をよく理解し、根気よく懇切に指導教育していかなければ、企業の存続自体をも脅かすことになるのである。

 (NPO・シニアマイスターネットワーク会員 株式会社JAPAN・SIQ協会代表取締役 金子順一)


         

 
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