ツーリズムEXPOジャパンの9月22日には国内観光、訪日旅行、海外旅行のテーマ別シンポジウムを実施。観光業界が直面するさまざまな課題について議論された。国内観光シンポジウムは「DMOは地域の観光を変えるか? ~世界から人が集まるための地域マネージメントとマーケティングを考える~」がテーマ。観光による地域づくりなどに取り組む4人がパネルディスカッションを行った。
パネリストからは、DMOの機能の中でマーケティング機能が最も重要との意見が相次いだ。トリップアドバイザー・アジア地区デスティネーションマネージメント部長のサラ・マシュー氏は「旅行者の意図からリサーチをすべき」「オーディエンスの属性を理解することが大事だ」と発言。日本政策投資銀行・地域企画部部長の浅井忠美氏は「アジア人は自然や風景、あるいは日本食、温泉に関心があるが、欧米人は文化、寺社仏閣、歴史、あるいは日本人のライフスタイルに関心がある」とアジア人と欧米人の志向の違いを述べた。
観光地づくりに取り組む側からは、具体的な課題や解決策が示された。
「一番の悩みは財源が弱いこと」と語ったのは、阿寒観光協会まちづくり推進機構理事長の大西雅之氏。「今、われわれの時代はいいが、次の世代がこのままで世界の観光と戦っていけるのかという議論をした時に入湯税を値上げして町づくり財源にしていこうと(決めた)」と、入湯税を活用した観光財源の確保に至った理由を説明した。
田辺市熊野ツーリズムビューロー会長の多田稔子氏は「外国人を呼び込むには外国人の感性が必要。英語を母国語に持つカナダ人をスタッフに招き入れ、魅力を発掘し、現地のレベルアップを図った」とインバウンド誘客の施策を明かした。また、「地域、あるいは観光関連事業者と外国人旅行者には言葉と決済という二つの壁がある。これを解決するのが私たちの役割だ」と強調した。