【テツ旅、バス旅 58】スタンプラリー 鎌倉 淳


 年末年始にスタンプラリーに挑戦しました。首都圏の「私鉄10社 スタンプラリー」です。息子が台紙をもらってきたので、寒い季節の外出のきっかけになればと、軽い気持ちで始めてみました。

 近場の駅をいくつか回っておしまいにするつもりでしたが、そうは問屋が卸しません。息子ともどもハマってしまい、結局計20カ所のスタンプをコンプリート。景品(シール)引換駅と併せて延べ30駅を訪れてしまいました。使った電車賃は細かく計算していませんが、2万円は超えたでしょう。本来何の用もないのに、鉄道会社に2万円も支払ってしまったわけです。おそろしい。

 勢い余って、今度はJR東日本の「懐かしの駅復刻スタンプラリー」に参加しています。最初に訪れた駅では、台紙が「好評につき品切れ」になっていて、のけ反りましたが、たまたま居合わせた欧米系のシニア女性が「私、余分に持っているからあげる」と分けてくださいました。お言葉に甘えましたが、台紙が品切れになるほど人気であることと、シニア外国人も参加するほど愛好者の裾野の広いことに驚かされました。

 鉄道会社からみれば、台紙とスタンプを用意すれば参加者が列車に乗ってくれるので、元手があまりかからない増収策として魅力的です。そのせいか、近年は鉄道各社が競うようにスタンプラリーを行っているように見受けられます。

 ただ、ローカル線を対象にしたスタンプラリーは多くありません。列車の運転本数が少ないので、「ラリー」途中の待ち時間が長すぎて、気楽に楽しめないという事情があるのかもしれません。大都市圏から離れると参加者も限られます。

 そうした課題を克服しているのが、こちらも近年ブームの「鉄印帳」でしょう。第三セクターのローカル私鉄で「鉄印」を集めるものですが、一つ一つの「鉄印」は有料で、各鉄道会社の窓口で乗車券を提示して押してもらいます。いわば、全国の三セク鉄道スタンプラリーですが、列車本数の少ない区間で何度も乗降する必要がありません。全国を対象にしているので、参加者の裾野も広がります。

 鉄道は基本的には実需に支えられています。ただ、筆者のように「用もないのにお金を払ってしまう」仕掛けも重要になってきています。その点で、利用者が楽しめて、鉄道会社の収益にもなる仕組みとして、「スタンプ」に、もっと期待したいところです。

 (旅行総合研究所タビリス代表)

 
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