年末年始は家族とトマムで過ごしました。よく知られているとおり、北海道を代表するスノーリゾートの一つです。
トマムの長所は、新千歳空港からJR石勝線で容易にアクセスできる点。ニセコやルスツはバスでのアクセスが一般的ですが、トマムなら、南千歳駅で乗り換えて特急列車で1時間余りです。昔はトマム駅を通過する列車もありましたが、外国人客の利用が増えるにつれ、いまでは全列車が停車するようになりました。
実際、筆者が利用した日も、大勢の外国人客がトマム駅で降車しました。ざっと50人はいたでしょうか。編成定員は300名ほどなので、満席だったとして、2割弱がトマムで降車したことになります。鉄道におけるインバウンドの存在感を見せつけられました。
リゾート会社の送迎バスがホームに横付けされ、荷物をトラックでホテルまで運んでくれます。手慣れたサービスで、ストレスなくホテルにチェックインできました。列車でスキーに来るのも悪くない、と思ったものです。
ただ、帰路には問題がありました。送迎バスが下りホームに横付けされたものの、上り列車は反対側のホームに発着します。跨線橋にエレベーターはなく、歩いて階段を上り下りするほかありません。
スキー・スノボ客は、そうでなくても大荷物。海外旅行となればなおさらで、外国人客は巨大なスーツケースを抱えて難渋していました。リゾート内はバリアフリーが行き届いているのに、玄関口たる駅がこの状況というのは残念で、やっぱりスキーはバスかクルマが楽かな、と考えを改めざるを得ませんでした。
トマムは山間の無人駅で、1日の利用者は、多いときでも200人前後でしょう。一方、バリアフリー法での駅エレベーターの設置基準は、1日2千人以上。トマム駅は基準に遠く及びません。
駅には券売機もなく、利用者は指定席券を買うこともできません。リゾートの質の高さと、駅設備の貧弱さとの落差が激しいのは気になります。日本のウインターリゾートを満喫した客が、鉄道駅で天を仰ぐ姿は見たくありません。
トマムは、「鉄道アクセスができるスノーリゾート」という希少価値があるのに、駅施設の整備の遅れが、メリットを打ち消してしまっているように思えます。JRとリゾート会社、自治体が協力して、改善してほしいものです。
(旅行総合研究所タビリス代表)