青春18きっぷで大阪から金沢へ出かけたことがあります。普通・快速列車を乗り継いで約5時間。途中下車を交えながらの小旅行にはちょうどいい距離です。青春18きっぷを片道ずつ使い、金沢で1泊して観光を楽しみました。
こうした旅行が、3月からできなくなります。というのも、北陸新幹線の敦賀開業により、JR北陸本線の敦賀―金沢間が第三セクター鉄道会社に移管されてしまうからです。青春18きっぷはJR在来線でのみ利用でき、第三セクターでは利用できません。
同区間に含まれる福井駅にも、青春18きっぷだけでは行けなくなります。じつは、沖縄を除く県庁所在地駅で、青春18きっぷが使えなくなるのは、金沢駅と福井駅が初めてです。
これまでにも、新幹線開業に伴う並行在来線の第三セクター移管はありました。ただ、県庁所在地駅には、並行在来線以外のJR在来線が残っていて、新幹線開業後も青春18きっぷを利用して訪れることができていました。
例えば、長野駅には、北陸新幹線開業後も篠ノ井線が通じています。富山駅には高山本線があります。青森駅には、東北新幹線開業後も奥羽本線が発着しています。対して、金沢駅と福井駅には、北陸本線の他にJR在来線がありません。同線が第三セクターに移管されることで、青春18きっぷの経路が完全に失われてしまうのです。
石川・福井両県には、七尾線や越美北線といったJRローカル線が残ります。両線に乗車する場合、第三セクター路線の一部を通過利用できる特例が設けられます。しかし、県庁所在地たる金沢駅、福井駅では利用できません。
青春18きっぷが利用できなくなることで、観光面の打撃がどの程度あるかというと、たぶん小さいでしょう。しかし、節約旅行者としては、残念な話です。また、石川・福井両県の住民にとっても、青春18きっぷが縁遠い存在になってしまいます。
これまで通りとなるような解決方法はありませんが、せめて「北陸新幹線オプション券」のようなものを作って、別料金を払えば新幹線に乗車できる仕組みでも作れないものか、と考えてしまいます。
あるいは、北陸3県の第三セクター鉄道会社が協力して、青春18きっぷ利用者向けの乗り放題きっぷを格安で設定する、という方法もあります。ぜひご検討を願いたいところです。
(旅行総合研究所タビリス代表)