アウンコンサルティングは、「台湾・タイのWeb広告に関する意識調査」の結果を発表した。
出典:日本政府観光局(JNTO) 国籍/月別 訪日外客数(2003年~2018年)、
国土交通省 観光庁「訪日外国人消費動向調査2017年 年間値の推計」を参考にアウンコンサルティングで加工
■台湾・タイの訪日客におけるマクロ情報について
日本政府観光局(JNTO)によると、2017年の台湾からの訪日客数は中国・韓国に次ぎ456.4万人と3番目に多く、観光庁の発表ではリピーター(観光・レジャー目的)は80.1%で、中国の39.8%と比較しても高い数値となっております。また、タイは訪日客数98.7万人・リピーター率67.1%と、共に東南アジアで1番高い数値となっております。
今回の調査では、インバウンド市場として成熟している台湾と、第二のインバウンド市場として成長している東南アジアからタイをピックアップし、台湾とタイにおけるWeb広告に関する意識調査を行い、インバウンドWebプロモーションの観点から、トレンドの違いを紐解いていきます。
<質問項目>
1.(連絡手段として)一番使用するメッセンジャーアプリは何ですか?
2.利用頻度が一番多いSNSはありますか?
3.SNSでクリックしたことのある広告はありますか?
4.SNS以外で)クリックしたことのある広告はありますか?
5.SNSで迷惑だと感じる広告はありますか?
6.(SNS広告以外で)迷惑だと感じる広告はありますか?
7.クリックしたことのある広告はどんな業界のものですか?
<一番使用するメッセンジャーアプリは何ですか?>
■台湾・タイ共に主な連絡手段として利用されているのは「Messenger」と「LINE」
台湾・タイ共に連絡手段として活用されているアプリは「Messenger」と「LINE」が90%以上を締めていることが分かりました。LINEは台湾やタイ、インドネシアで多く利用されており、他のSNSと比較してアクティブ率が高いのが特徴です。また、タイではFacebookの利用率が非常に高く、メールの代わりにMessengerで知人と連絡を取り合うことが多い傾向にあります。そのため、LINEが参入してからも根強くMessengerの需要が残っており、以下の結果になったことが推測できます。
※各N数100以上
<利用頻度が一番多いSNSはありますか?>
■情報収集やシェアを目的として利用されているのは「Facebook」と「Instagram」
情報収集やシェアの目的で利用されているSNSは以下の結果となりました。タイでの主要SNSはFacebookで、Instagramのシェアは全体でみると9%と低い数値になっています。タイではInstagramが流行していますが、未だに主要SNSはFacebookのようです。前述したように、タイでのFacebookの利用率は高く、ニュースフィードで友人とコニュニケーションを取り、情報収集の際もFacebook上で呼びかけて情報をもらうなど、「Facebook=インターネット」という認識に近く、シェア率も高い結果となっています。日本ではインフルエンサーというとInstagramを想像しますが、タイのインフルエンサーは利用率が高いことからFacebookが主要媒体となっています。
※各N数100以上
<SNSでクリックしたことのある広告はありますか?>
■利用率の高い媒体の広告のクリック率は高い
「SNSでクリックしたことのある広告」に関しては、台湾で「Facebook」「LINE」「Instagram」、タイで「Facebook」「Messenger」「LINE」が上位を締めており、主要メッセンジャーアプリや主要SNSの利用率と比例していることが分かります。
※各N数100以上
<(SNS以外で)クリックしたことのある広告はありますか?>
■台湾「バナー広告」・タイ「動画広告」の関心が高い
こちらの設問では、(SNS利用時以外の)検索エンジン等を利用している際に出てくるWeb広告について、動画や記事広告、リスティング広告など、どのような形態のWeb広告に興味があるのか調査いたしました。
大きな違いがあったのは「バナー広告」と「動画広告」です。台湾で29%を締めているバナー広告ですが、タイではわずか6%と大きな差がありました。また、動画広告ではタイのシェア率が高く36%を占める結果となりました。
※各N数100以上
<SNSで迷惑だと感じる広告はありますか?>
■Instagramの広告を不快に感じるユーザーは少ない?
「クリックしたことのある広告」でも同じ傾向がみられましたが、「迷惑に感じる広告」でも台湾・タイ共に日常的な利用率の高さと比例して「LINE」「Facebook」「Messenger」がランクインしています。しかし、Instagramに関しては、どちらも数値が低い結果となりました。特に台湾では、Instagramを主要SNSとして利用しているユーザーが27%を締めているのにも関わらず、Instagramの広告を迷惑だと回答しているユーザーは5%以下と低い結果となりました。Instagramの広告はアパレル・美容系など文章よりも視覚的に訴える広告が多いことから、ユーザーの投稿に溶け込み、不快に感じにくいのではないかと考えられます。
※各N数100以上
<(SNS広告以外で)迷惑だと感じる広告はありますか?>
■半数以上が「ポップアップ広告」「リスティング広告」に不快感
SNS以外の広告に関しては、「ポップアップ広告」「リスティング広告」に不快感を抱いているユーザーが多いことが分かりました。ポップアップ広告は、視界が遮られ、ユーザーの動作を止めてしまうことや、フィッシング詐欺などの犯罪行為に使われるケースも多いため、ネガティブなイメージも関係しているのではないかと推測します。
※各N数100以上
<クリックしたことのある広告はどんな業界のものですか?>
■「美容」「ゲーム」「旅行」の需要が高い
業界別に調査をすると、「美容」「ゲーム」「旅行」のWeb広告への関心が高いことが分かりました。ランキングを比較してみても大きな差はなく、Web広告の効果が期待できる業界は国や地域によって変動はあると思いますが、台湾とタイでは似たような結果となりました。
※各N数100以上
台湾・タイは日本へのリピーターが多く、インバウンドプロモーションを行う上では外せないターゲットとなってきています。ターゲットとなる国や地域に受け入れられるプロモーション方法を深く理解し、媒体や広告形態を選定していきましょう。
昨今、2020年の東京オリンピックに向けてインバウンド市場が盛り上がりを見せていますが、多くの企業様がインバウンドプロモーションを中華圏(中国・台湾・香港)から行います。中でもリピーターの多い台湾は、トレンドも多様化しています。また、早くにインバウンドプロモーションに取り組んだ企業様は第二のインバウンド市場として成長している東南アジアに注目されています。