【データ】なんとなく不調に関する実態調査 ツムラ調べ


 ツムラは18日、なんとなく不調に関する実態調査の結果を発表した。 

株式会社ツムラは、20代〜40代の男女1,800人を対象に不調に関する実態を調査しました(昨年に続き2回目)。その結果、新型コロナウイルス感染症の拡大から2年目の2021年は心身の不調を感じた人が60.1%と前年より増加していました。さらに今年(2022年)の体調の予想でも60.6%が「不調を感じそう」と回答し、同様の傾向が見込まれます。調査結果について、霞が関ビル診療所の丸山 綾先生にコメントを頂きました。主な調査結果は以下の通りです。

 

6割が「不調」を感じた2021年 女性の不調第1位は「疲れ・だるさ」

●心身の不調を感じる人は約6割でした。

●特に、今回の特徴として、20代女性で不調を自覚する人が増加し、4人に3人(74.3%)が不調を自覚。 ●2021年不調TOP3(女性):1位「疲れ・だるさ」82.8% 2位「目の疲れ」78.8% 3位「肩こり」77.3%。

●更に、女性の83.3%が心身の調子がなんとなく悪い「なんとなく不調」を実感。

●女性のなんとなく不調TOP3:1位「疲れ・だるさ」62.5% 2位「肩こり」54.9% 3位「頭痛」53.5%。

 

「不調」継続の2022年 女性の「疲れ・だるさ」は不調の最大シグナルに

●2022年も「不調を感じそう」と予想する割合60.6%で、不調の改善を見込んでいる人は少ない傾向。 ●2022年の不調予想(女性)TOP3の症状は、1位「疲れ・だるさ」77.8%、2位「肩こり」76.9%、3位「目の疲れ」76.3%。

 

心身が不調なときの、我慢に代わる選択肢のひとつに、テレワークも。

<テレワークと不調の関係>

【テレワークから出社・出勤に戻った人】

●2021年9月以降、テレワーク経験者のうち、76.5%は「月に1日以上、出社」、そのうち38.9%は「毎日出社」する勤務へ戻っていた。

●出社・出勤になると体調不良の日は「苦労」(41.7%)し、不調は「悪化」(28.1%)すると回答。

 

【テレワーク勤務について】

●テレワークを継続中の人の45.9%は出社・出勤は「好ましくない」と回答。一方、出社・出勤する人の51.6%は出社・出勤は「好ましい」と意見は二分。

●テレワーク勤務は、自分の不調を「気付いてもらえない」41.5%、「相談しにくい」39.8%。

●テレワーク勤務は、不調の日でも「働きやすい」51.2%、「休みやすい」41.0%、「育児・介護・看護との両立がしやすい」40.5%。

 

調査概要  ■実施時期:2021年12月3日(金)~ 12月8日(水)  ■調査手法:インターネット調査  

      ■調査対象:全国の20代〜40代男女1,800人、テレワーク調査はテレワーク経験者300人を追加して実施

  ★構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。

 

霞が関ビル診療所丸山綾先生に聞く、なんとなく不調への対処法

 

コロナ禍生活2年目、6割が心身の不調を実感  特に、20代女性は4人に3人が不調を訴える

 

不調症状の第1位 男性は「目の疲れ」 女性は「疲れ・だるさ」

 

新型コロナウイルス感染症拡大から2年たち、第5波のピークに比べ感染者数が低下した2021年12月に、2021年の体調について聞きました。

まず、身体面・精神面での不調について聞くと、「不調を感じた」 のは60.1%で、前回の調査結果である、同年に「不調を感じた」57.2%と比較して、より多くなっています。男性52.3%より女性67.8%が不調を感じやすく、特に20代女性は74.3%と約4人に3人が不調を訴えています[図1-1]。

不調を感じた症状は、「目の疲れ」72.1%、「疲れ・だるさ」70.6%、「肩こり」64.4%、「イライラ感」59.1%、「寝つきにくい・目覚めが悪い・眠りが浅い・不眠」52.6%の順となりました[図1-2]。

 

 

前回調査と比べると、いずれの症状もスコアが高くなっており、さまざまな症状で不調を感じる人が増加しました。また、上位4症状は変わりませんが、「寝つきにくい」は前回調査の9位(39.8%)から5位に浮上しています。2021年に増加した不調症状には、「冷え」36.7%→50.7%、「寝つきにくい」39.8%→52.6%、「不安感」38.8%→49.6%、「疲れ・だるさ」60.1%→70.6%などが挙げられます[図2]。

 

コロナ禍生活2年目、女性の5人に4人は「なんとなく不調※ 」を感じていた

 

健康に不安を感じる人が増加した2021年 女性は男性より「なんとなく不調」も多い

次に、現在の心身の健康に対する不安を聞きました。全体の61.6%が「健康に不安を感じる」と答え、前回調査と比べ男女とも(男性50.3%→53.7%/女性65.1%→69.4%)健康不安を感じる割合が高くなりました[図3]。

また、日常生活の中で心身の調子がなんとなく悪いと感じる「なんとなく不調※」について聞くと、全体の77.1%がなんとなく不調を感じており、前回調査よりも7.6%増えています。男性も女性も増加しており、女性では83.3%が、なんとなく不調を経験しています[図4]。

 

※ツムラが定義する「なんとなく不調」とは、自覚しながらもつい我慢しがちな症状や、調子が悪いものの病名の診断がつかない症状の総称です。

 

 

 

「なんとなく不調」の上位4症状は、「疲れ・だるさ」「目の疲れ」「肩こり」「頭痛」 

2021年に増えた、寝つきにくい・目覚めが悪いなどの「睡眠」不調

なんとなく不調を感じると答えた人[図4]に、具体的な症状を聞くと、「疲れ・だるさ」54.3%、「目の疲れ」48.0%、「肩こり」47.9%、「頭痛」45.9%などが多く、2020年と比べていずれも高くなっています。「疲れ・だるさ」(44.5%→54.3%)に次いで、寝つきにくい・目覚めが悪い・眠りが浅い・不眠(30.5%→37.0%)といった睡眠に関する不調症状を感じる人が増えています[図5-1][図5-2]。

 

 

2022年の不調予想ランキング 20代女性の不調予想は、前回より10%も増加 

2022年も6割が心身の不調を予想 不調TOP3は「目の疲れ」「疲れ・だるさ」「肩こり」

男性は「睡眠」と「腰痛」、女性は「イライラ感」と「頭痛」に高い警戒感

次に、2022年の心身の不調について予想してもらいました。

まず、2022年に心身の不調を感じそうかと聞くと、全体の60.6%が不調を予想し、前回調査と変わらず、2022年も不調傾向が続く見込みです。男性53.2%より女性68.0%の方が不調予想が高く、20代女性は前回の62.3%から73.0%へと10.7%も不調予想が上昇しています[図8-1]。

2022年に不調を感じそうな症状は、「目の疲れ」67.6%、「疲れ・だるさ」65.6%、「肩こり」61.9%、「イライラ感」55.3%、「寝つきにくい」 53.3%、「頭痛」53.0%の順となりました。

 

男女とも「目の疲れ」「疲れ・だるさ」「肩こり」が不調TOP3と予想されていますが、男性は「睡眠」や「腰痛」、女性は「イライラ感」や「頭痛」が、2022年に特に増える不調症状となりそうです[図8-2]。また、前回調査と比べると目覚めが悪い・眠りが浅い・不眠などの「睡眠」(40.8%→53.3%)の不調を予想する人が多くなっています[図8-3]。コロナ禍生活3年目も心身の不調を感じる方の割合は継続しそうです。

 

テレワークのいいところ、出社・出勤のいいところ

テレワークは、体調不良の日の選択肢の一つ

 

テレワーク経験者に、以前と同じ出社・出勤になる場合の意見を聞きました。

 

まず、出社・出勤の場合、体調不良の日の働き方が楽になるか、苦労しそうかと聞くと、「楽になりそう」26.7%<「苦労しそう」41.7%となり、出社・出勤は体調不良の日の仕事には向かないと捉えられています。しかし、既に出社・出勤する人では「苦労しそう」31.2%が下がり、「どちらともいえない」40.0%が高くなっています。男女別で見ると、テレワーク中の女性は出社・出勤を「苦労しそう」56.8%と心配する割合が最も高くなっています[図12-1]。体調不良を感じやすい人は、テレワークを望んでいる傾向であることが分かりました。

 

出社・出勤の場合、心身の不調については、「改善する」29.4%、「悪化する」28.1%と大差ない結果になりました。現在、 テレワーク中の人もそうでない人と比較しても、大きな差はありません。

しかし、男女で比較すると、男性は「改善する」の意見が多いのに対し、女性は「悪化する」の意見が多くなっています。

テレワークか出社・出勤かではなく、どちらも自由に選択できる、柔軟な働き方が望まれているようです。

心身の不調を我慢して出勤していたワークスタイルが、テレワークか出社・出勤かを選ぶことで無理せず働けるようになる。そんな我慢に代わる選択肢が、アフターコロナの働き方改革の焦点になるのかもしれません。

 

テレワークは、一緒に働いている人に自分の不調に気付いてもらったり、相談するのは難しいが不調の日でも働きやすく、休みやすい働き方として認知されている

次に、テレワークをしたことがない902人を含む、有職者1,671人を対象に、テレワーク勤務と健康について聞きました。

テレワークは、自分の身体的・精神的な不調を一緒に働いている人に気付いてもらえるかどうかと聞くと、「気付いてもらえる」24.3%<「気付いてもらえない」41.5%となり、気付いてもらえないと感じる人が多くなっています[図13-1]。

また、自分の身体的・精神的な不調を一緒に働いている人に相談しやすいかと聞くと、「相談しやすい」29.6%<「相談しにくい」39.8%となり、テレワークは不調を相談しにくいと感じる人が多いようです[図13-2]。

一方で、「不調の日でも働きやすい」(51.2%)、「不調の日にも休みやすい」(41.0%)、「育児・介護・看護と両立した働き方がしやすい」(40.5%)などはテレワーク勤務のメリットとして認知されています。

テレワークでは職場の仲間に気遣ってもらうことは難しいが、自分自身で健康管理しつつうまく調整することで、体調に合わせた働き方ができるというメリットもあるようです。

 

※図13‐1~図13‐2について、

「テレワークあり」:現時点でテレワーク継続中の方

「テレワークなし」:現時点でテレワークから出社・出勤へ戻った方

「テレワーク経験あり」:現時点の働き方に関係なく、テレワークを経験した方

「テレワーク経験なし」:テレワークを経験していない方

を表しております。

 

婦人科医・丸山 綾先生に聞く、なんとなく不調への対処法

今回の調査結果について、霞が関ビル診療所婦人科の丸山綾先生に解説していただきました。

 

女性はもともと環境変化の影響を受けやすい

今回の調査では、20代女性の多くが不調を感じていることが分かりました。女性はもともと月経により自律神経の不調が多くなり、環境変化の影響を受けやすいのですが、20代〜30代は学生から社会人になったり、結婚や出産をしたり、プライベートでも変化が大きいことから、他の年代に比べるとコロナ禍の影響をより受けやすいと考えられます。

また、2021年は「冷え」や「寝付きの悪さ」を訴える人が増えていますが、コロナ禍による慢性的な運動不足や生活リズムの乱れにより、全身の症状として表れてきたと考えられます。実際、診察する中でも、睡眠障害を訴える患者さんは増えているように感じます。例えば40歳前後の方で、本人は更年期障害を疑って受診されるのですが、診察するとそうではなく、生活リズムの乱れや精神的なストレスによる睡眠障害が疑われます。このような場合、生活習慣の改善をお勧めし、必要に応じて漢方薬を処方しています。

 

女性の8割が感じる「なんとなく不調」 生活リズムと運動習慣で自律神経を整えよう

また、女性の8割以上が「なんとなく不調」を感じていることも分かりました。なんとなく不調は、体温調節やカラダの基本的な調節を担う「自律神経の不調」であることが多いようです。ですから、まずは睡眠・食生活・運動習慣など生活習慣や生活リズムを整えることが前提です。生活リズムは寝る時間と起きる時間を一定にすること、そして運動習慣が大事です。漢方医学では、気血水という三つの要素が滞っていることが、不調を引き起こすと考えます。この気血水を巡らせるのが運動です。散歩をしたり室内でスクワットしたり、自分の体力や好みに合わせて体を動かす習慣をつけることが、不調の予防にとても役に立ちます。

とはいえ、仕事や育児などで、自分だけではコントロールできないこともあります。そんなときは、医療機関に相談してください。今回の調査でも不調で病院を受診する女性はごくわずかでしたが、不調ぐらいでは病院に行かず、どうにも我慢できなくなってやっと病院に行くという回答が見られました。その背景には、月経痛などの不調を病気と思っていないことや、我慢を美徳とする傾向などが考えられます。しかし、不調を我慢する必要はなく、適切な対処をすることで、不調のない日常を取り戻すことができます。

 

引き続き「不調」予想の2022年 我慢しないで!医療機関に気軽に相談を

医療機関を受診することで、隠れた病気がないかを確認できるメリットもあります。20代〜40代女性では、疲れやすさや頭痛の原因として、「隠れ貧血」が多く見られます。自己判断でのセルフケアで時間とお金を費やしてしまう方もいらっしゃいますが、適切な血液検査で確認できる場合が多く、実は全く別の原因が…というケースも残念ながらあります。

「なんとなく不調」のように病名が付かない場合でも、症状があれば対症療法や漢方薬などで治療することができます。病気ではなさそうだし…と自己判断せず、心身の不調を感じたら、医療機関に気軽に相談することをお勧めします。受診するときは、気になる症状に対して、①どのような病気かを知りたいのか ②その症状を緩和させたいのか、どちらを優先したいのかなど、ご自身の希望を伝えていただくと、それに合わせた治療方針が立てられ、詳しい検査をするか、検査より治療を優先するかなど、よりスムーズな対応ができます。

2022年も「不調」の予想が色濃くなっています。コロナ禍で先の見えない不安感が不調の要因になっていると考えられますが、テレワークか出社・出勤か、働き方が変わるだけでも生活リズムに影響がありそうです。医療関係者は、患者さんに適切な対処をすることで日常生活に支障のないレベルにすることを目指し、日々の診療に当たっています。心身の不調を感じたら、医療機関で相談することを選択肢の一つとして、気負わず気軽に受診してください。

 

丸山 綾(まるやま・あや)先生  「霞が関ビル診療所」 婦人科医

1999年、日本大学医学部卒業。駿河台日本大学病院(現日本大学病院)、丸の内クリニックなどを経て、現職。専門は産婦人科一般、漢方診療。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本東洋医学会漢方専門医。

●霞が関ビル診療所 東京都千代田区霞が関3-2-5 https://kasumigaseki.kenkoigaku.or.jp/


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