電通は6月20日、「エシカル消費 意識調査2022」の結果を発表した。
株式会社電通(本社:東京都港区、社長:榑谷 典洋)において、社会課題を起点としたコミュニケーションのプランニングを行う社内横断チーム「新!ソーシャル・デザイン・エンジン」は、全国10〜70代の男女計2500名を対象に、「エシカル消費※ 意識調査2022」(以下、「本調査」)を実施しました。
本調査では、前回調査(2020年11月)との比較を行いながら、エシカル消費全体に対する認知度、共感度、実践意欲について、また業界別(食品、日用品、衣料品、化粧品・美容関連品、住宅、自動車、家具、家電、エネルギー、金融、旅行、の全11業種)の取り組みに対する消費者意識の傾向と期待値について調査しました。本調査から得られた主なファインディングスは次のとおりです。
※ 消費者それぞれが社会的課題の解決を考えたり、社会的課題に取り組む事業者を支援するなどして、消費活動を行うこと。
<本調査から得られた主なファインディングス>
① 「エシカル消費」の名称を知っている人は41.1%で、前回調査から17.1pt伸長。一方で、「意味まで知っている」人の割合は伸び悩み、理解浸透に課題。
② エシカル消費への関心度は15.3%にとどまり、「どちらでもない」という回答が全世代で多数を占める。一方、エシカル消費の具体的な内容を知った後では、43.9%が日常生活に取り入れたいと回答。特に関心度の高いZ世代を中心に、内容理解と行動へのきっかけづくりが必要。
③ エシカル消費の中で、「食品ロス防止」は前回調査に続き、人々の認知・共感・実践意向率すべてにおいてトップの結果。認知度は高いが共感度の低い「ベジタリアン、ヴィーガン、ハラル」は体験と理解の機会の増加、共感度は高いが実施意向の低い「再生可能エネルギー」では導入ハードルの引き下げに課題。
④ エシカル消費の実施条件は、前回調査に引き続き「変わらない価格」と「メリットの明示」が重要。加えて、「高品質・高機能」「身近な店で買える」など自らの生活の質や利便性を維持したい需要が増加。
⑤ 業界別エシカル消費実施意向では「食品」「日用品」「家電」などの消費財が増加、一方で「自動車」「エネルギー」「住宅」などの耐久財は減少傾向。エシカル消費と商品や業界との関連性、具体的なアクションの分かりやすさが影響。
⑥ エシカル消費に取り組んでいる印象が強い業界は、前回調査に引き続き「食品」がトップ。反対に、今後の取り組みへの期待値が最も高かったものは「金融」業界。「エネルギー」業界は、いまだ購入経験がない消費者が多いものの、今回購入意向が大きく増加。今後、消費者が購入しやすいと思える機会の提供が急務。
【各ファインディングス詳細】
① 「エシカル消費」の名称を知っている人は41.1%で、前回調査から17.1pt伸長。一方で、「意味まで知っている」人の割合は伸び悩み、理解浸透に課題。
● 「エシカル消費」について、「意味まで知っている」「名前は知っている/聞いたことがある」を合計した名称認知率は全体で41.1%、前回調査の24.0%から大きく伸長。
● 性年代別にみると特に名称認知率が高い層は、男性16-24歳(51.2%)と男性25-39歳(51.0%)でいずれも半数を超えた。最も名称認知率が低い層は、男性60-79歳(27.2%)であった。
● 全体的に「名前は知っている/聞いたことがある」人の割合は34.2%で増加傾向にあるが、「意味まで知っている」人は大きな増加は見られず、世の中で「エシカル消費」という言葉をメディアの報道や記事などを通じて聞いたことがある人は増えたものの、理解浸透までには至っていない。(図1)
(図1 エシカル消費認知度)
② エシカル消費への関心度は15.3%にとどまり、「どちらでもない」という回答が全世代で多数を占める。一方、エシカル消費の具体的な内容を知った後では、43.9%が日常生活に取り入れたいと回答。特に関心度の高いZ世代を中心に、内容理解と行動へのきっかけづくりが必要。
● エシカル消費に「とても関心がある」「関心がある」と回答した人は全体で15.3%と前回調査から6.6pt増加したものの、低い水準にとどまった。関心度が比較的高い層は、前回調査と同じくZ世代の女性16-24歳(22.7%)と男性16-24歳(20.9%)であった。全体的に「まったく関心がない」と答えた人は29.3%で、前回調査より16.0pt減少した。(図2)
● 一方、「エシカル消費」について具体的な内容を知った後では、43.9%が「ぜひやってみたい、もしくはすでにやっている」「興味があり、やってみたい」と回答し、日常生活に取り入れたいと思っていることが分かった。(図3)
● 「エシカル消費」の内容理解が進めば、アクションにつながる可能性が期待できる。
(図2 エシカル消費関心度)
(図3 エシカル消費実施意向)
③ エシカル消費の中で、「食品ロス防止」は前回調査に続き、人々の認知・共感・実践意向率すべてにおいてトップの結果。認知度は高いが共感度の低い「ベジタリアン、ヴィーガン、ハラル」は体験と理解の機会の増加、共感度は高いが実施意向の低い「再生可能エネルギー」では導入ハードルの引き下げに課題。
● エシカル消費20項目における認知度は、前回調査に引き続き「食品ロス防止」(62.0%)、「再生可能エネルギー」(60.3%)が上位で、スコアはそれぞれ17pt以上伸長した。下位は「エシカル金融投資」(12.4%)、「ダイベストメント」(8.9%)で、前回調査からのスコアにほぼ変化がみられなかった。
● 共感度上位は順に「食品ロス防止」(61.0%)、「再生可能エネルギー」(48.9%)、「地産地消」(47.1%)で、実施意向は「食品ロス防止」(53.1%)、「地産地消」(37.6%)が上位。
● 認知度と共感度の差が最も大きいのは「ベジタリアン、ヴィーガン、ハラル」、共感度と実施意向の差が最も大きいのは「再生可能エネルギー」。それぞれ消費者が「試したい」または「導入しやすい」と感じるきっかけづくりが求められる。(図4)
(図4 エシカル消費詳細に関する認知、共感、実施意向)
④ エシカル消費の実施条件は、前回調査に引き続き「変わらない価格」と「メリットの明示」が重要。加えて、「高品質・高機能」「身近な店で買える」など自らの生活の質や利便性を維持したい需要が増加。
● エシカル消費を実施する条件は、前回調査に引き続き「価格が同じだったら」(44.0%)と「メリットが分かったら」(38.1% )が高く、次いで「品質・機能が良かったら」(36.2%)、「身近な店で売っていたら」(35.0%)が伸長した。
● エシカル消費を選択する場合でも、購入する商品や自らの生活の質を落としたくないという消費者の傾向が見受けられる。反対に、「丈夫で長持ち」や「長期で考えるとお得」など価格に見合う商品特長を伝達することができれば、エシカル消費をより後押しできるとも考えられる。(図5)
(図5 エシカル消費実施条件)
⑤ 業界別エシカル消費実施意向では「食品」「日用品」「家電」などの消費財が増加、一方で「自動車」「エネルギー」「住宅」などの耐久財は減少傾向。エシカル消費と商品や業界との関連性、具体的なアクションの分かりやすさが影響。
● 業界別の上位は順に「食品」「日用品」「家電」「自動車」「エネルギー」「化粧品・美容関連品」「家具」「衣料品」「住宅」「旅行」「金融」という結果であった。
● 「食品」「日用品」「家電」などの生活用品(衣料品を除く)は増加しているものの、「自動車」「エネルギー」「住宅」などの耐久財は減少。エシカル消費の具体的なアクションが一般的にも分かりやすい消費財は自分ゴト化しやすく、エシカル消費をしてみたいと思いやすい傾向にある。一方、消費者にとって耐久財はエシカル消費との関連性や影響が想像しにくいため、環境負荷低減の可視化といったエシカル消費との関連性やインパクトを分かりやすく提示する必要がある。(図6)
(図6 業界別エシカル消費実施意向)
⑥ エシカル消費に取り組んでいる印象が強い業界は、前回調査に引き続き「食品」がトップ。反対に、今後の取り組みへの期待値が最も高かったものは「金融」業界。「エネルギー」業界は、いまだ購入経験がない消費者が多いものの、今回購入意向が大きく増加。今後、消費者が購入しやすいと思える機会の提供が急務。
● 現在取り組んでいる印象が強い業界は順に「食品」「日用品」「自動車」「エネルギー」。(図7)
● 特に「取り組んでいる」スコアが大きく上昇した「食品」(45.7%)と「日用品」(32.7%)業界は、消費者に各社だけでなく業界全体の取り組みが伝わっていると考えられる。一方で、「取り組んでいる」と「今後もっと取り組むべき」の差分が大きく、今後の取り組みへの期待値が高い業界は「金融」「旅行」「エネルギー」の順。特に前回調査に引き続き、差分が大きい「エネルギー」業界は、企業単位ではなく業界全体での取り組み拡大と消費者への伝達強化が求められる。(図7)
● 購入経験が多い業界は「食品」「日用品」「衣料品」の順で、購入意向が高いものは「食品」「日用品」「エネルギー」の順。購入意向はあるものの経験がないと答えた差分の大きいものは「エネルギー」「家具」「旅行」業界の順であった。(図8)
● 全体的に購入意向が伸びている中で、特に「エネルギー」業界が31.7pt伸長。(図8)
(図7 業界別エシカル消費取り組み度・期待度)
(図8 業界別エシカル消費購入経験・購入意向)
<「エシカル消費 意識調査2022」概要>
・対象エリア:日本全国
・対象者条件:16-79歳男女
・サンプル数:計2500名を人口構成比でウエイトバック集計
16-19歳、20-29歳、70-79歳(性別ごとで回収、178ss)
30-69歳(性別・10歳ごとで回収、179ss)
・調査手法:インターネット調査
・調査期間:2022年3月23~3月28日
・調査機関:株式会社電通マクロミルインサイト
※本調査における構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。
※ウエイトバック集計:回収されたサンプルを補正し、日本全国の人口構成比に合わせて集計。