【データ】カーボンニュートラルに関する生活者調査 電通調べ


 電通は9日、カーボンニュートラルに関する生活者調査の結果を発表した。

●生活者の7割以上が脱炭素社会の実現に向けた取り組みの必要性を認識しているが、内容まで理解しているとの回答は15%。

 

●約半数がカーボンニュートラルへの関与意向を持ち、約8割がそのための追加費用負担を許容するものの約8割はまだ自身の行動に移せておらず、今後の国や企業のリーダーシップに期待が寄せられている。

 

株式会社電通(本社:東京都港区、社長:五十嵐 博)は、電通グループ横断でサステナビリティに関するプロジェクトを推進する「サステナビリティ推進オフィス」および「電通Team SDGs」のもと、全国10~70代の男女計1,400人を対象に、第1回「カーボンニュートラルに関する生活者調査」(以下「本調査」)を実施しました。

 

昨今、脱炭素社会を実現するための考え方として、「カーボンニュートラル(炭素中立:生産・活動によって排出される二酸化炭素と吸収される二酸化炭素が同じ量で相殺されている(中立)状態)」への関心が高まっており、世界的に持続可能な社会へ向けた取り組みが加速する中、日本においても、2050年にカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことが宣言されました。それを受けて、2020年12月には「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定され、2021年4月には2030年の目標として温室効果ガス46%削減の発表がありました。また、日本企業もサステナビリティをより重視した経営を進める中で、「カーボンニュートラル」への取り組みを加速させています。

 

本調査では、この国内外で重要なテーマである「カーボンニュートラル」に対する国内の生活者の意識を調査するとともに、経済産業省が発表した2050年カーボンニュートラルに伴う「グリーン成長戦略」の14の重点分野についても、生活者の認識状況の調査を行いました。加えて、「カーボンニュートラル」に取り組む企業に対する生活者の意識調査も行いました。

本調査は今後も定期的に実施し、公表してまいります。

 

 

【主なファインディングス】

①「カーボンニュートラル」という言葉の内容まで理解している生活者は15%に留まる一方、取り組みの必要性は7割以上の生活者が感じている。

 

②グリーン成長戦略の14の重点分野に関する認知や内容理解について、6分野は話題となって社会に浸透する可能性が見えてきているが、全分野、生活者に定着するまでには至っていない。

 

③シニア世代>Z世代>ミレニアル世代の順でグリーン成長戦略への関心および関与意向が相対的に高い。特に60-70代はほとんどの分野の取り組みに対する関心度が相対的に高い。

 

④取り組みの先導は「国」、正しい情報は「研究機関」、実施は「大企業」に期待されている。

 

⑤「カーボンニュートラル」に取り組む企業・団体に対しては「時代の変化に抵抗し、チャレンジ精神や、長期定期な経営視点がある」とポジティブな印象を持ち、また、約8割の生活者は、この取り組みによる一定の追加費用の負担を許容している。

 

 

【各ファインディングスの詳細】

①「カーボンニュートラル」という言葉の内容まで理解している生活者は15%に留まる一方、取り組みの必要性は7割以上の生活者が感じている。

 

1、「カーボンニュートラル」の認知について

・「内容まで知っている」または「内容は知らないが、言葉だけは知っている」と回答した生活者の構成比の合計は42.0%であったが、「内容まで含めて知っている」のは14.6%で、内容理解の浸透は課題といえる。なお、類似の文言である「脱炭素」については、それぞれ51.9%と20.4%であった。【図表1】

 

2、「カーボンニュートラル」の実現に向けた取り組みの必要性の意識

・「カーボンニュートラル」の実現に向けた取り組みの必要性は、7割以上の生活者が感じており、理解は正確でなくても、社会全体にとって必要であるという認識は浸透していることがうかがえる。【図表2】

 

【図表1】

Q. 「カーボンニュートラル」「脱炭素」という言葉をどの程度ご存知ですか。

 

【図表2】

Q. 「カーボンニュートラル」の実現に向けて、取り組んでいくことは必要だと思いますか。

 

 

②グリーン成長戦略の14の重点分野に関する認知や内容理解について、6分野は話題となって社会に浸透する可能性が見えてきているが、全分野、生活者に定着するまでには至っていない。

 

1、グリーン成長戦略重点14分野への取り組みに関する認知率について

・経済産業省が発表した2050年カーボンニュートラル実現に向けた「グリーン成長戦略」の14の重点分野について、各取り組みの認識状況を調査した結果、「自動車の脱炭素化・蓄電池技術」と「資源循環型社会」の取り組みに対してはやや認知されているが、総じて、現状では14の重点分野の取り組みに関する認知は低い傾向にあった。【図表3】

 

2、主要14項目の現状での世の中の浸透度 ~カーボンニュートラルポテンシャルマップ~

・14の重点分野の世の中の浸透度を、スコア化した「実施状況(行動・関心度)」と「今後自分は関与を高めたい・増やしたい」の組合せによって、『定着』『トレンド』『兆し』『潜在』『停滞』『マンネリ』の6つのグループに分ける「カーボンニュートラルポテンシャルマップ」を作成。

6つの分野が実行動への誘因で更に話題を大きくできる「トレンド」に位置しているが、5分野は関心もなく、今後関与を高めたいともまだ思われていない「潜在」に位置しており、今後に課題が残る。【図表4】

 

【図表3】

Q. 日本は「カーボンニュートラル」の実現に向けて下記のような取り組みを行っていこうとしていますが、あなたはどの程度ご存じですか。

【図表4】 『カーボンニュートラルポテンシャルマップ』

 

 

 

③シニア世代>Z世代>ミレニアル世代の順でグリーン成長戦略への関心および関与意向が相対的に高い。特に60-70代はほとんどの分野の取り組みに対する関心度が相対的に高い。

 

1、各取り組みに対する関心度(各年代別)

・シニア世代ではほとんどの分野で関心度が相対的に高く、次にZ世代の関心が高い。ミレニアム世代の関心は低く、今後の課題といえる。【図表5】

 

2、「カーボンニュートラル」の実現に向けた各取り組み実施状況

・現状では各取り組みに関して実際に行動したり、調べたりしている割合は2割程度だが、取り組みに対するポジティブな意識は高く、半数以上の生活者が関心を持っている。【図表6】

 

【図表5】 『カーボンニュートラルポテンシャルマップ』に基づく各取り組みに対する各年代別関心度

 

【図表6】

Q. 「カーボンニュートラル」実現に向けて下記のような取り組みを達成するために、現在、あなたはどの程度調べたり、または行動をしていますか。

 

 

④取り組みの先導は「国」、正しい情報は「研究機関」、実施は「大企業」に期待されている。

 

1、今後の「カーボンニュートラル」の実現に向けた各取り組みについて

・生活者に「カーボンニュートラル」の実現に向けた各取り組みについて、今後必要性意識が高まりそうかを聞いたところ、ほぼ全ての項目で「高まりそう・増えそう(やや高まりそう・増えそうを含む)」が半数以上であった。特に「自動車の脱炭素化・蓄電池技術の実現」「資源循環型社会の実現」の必要性意識が高まりそうと思われている。【図表7】

 

2、「カーボンニュートラル」の実現に向けたリーダーシップについて

・カーボンニュートラルの実現に向けて、「先導してほしい」と特に思われているのは、国(政府・関係省庁)。話を「聞きたい」「賛同できる」と特に思われているのは、研究機関。「取り組みに期待する」と特に思われているのは、大企業、国(政府・関係省庁)、研究機関だった。【図表8】

 

【図表7】

Q. 「カーボンニュートラル」の実現に向けて、今後、日本では以下の取り組みへの必要性意識は「高まりそう・増えそう」ですか。「弱まりそう・減りそう」ですか。

 

【図表8】

Q. 「カーボンニュートラル」の実現に向けて、「先導してほしい」/「話を聞きたい」「賛同できる」/「取り組みに期待する」機関・団体はどこですか。

 

 

⑤「カーボンニュートラル」に取り組む企業・団体に対しては「時代の変化に抵抗し、チャレンジ精神や、長期定期な経営視点がある」とポジティブな印象を持ち、また、約8割の生活者は、この取り組みによる一定の追加費用の負担を許容している。

 

1、「カーボンニュートラル」の実現に向けて取り組む企業に対する評価・印象

・「カーボンニュートラル」の実現に向けて取り組む企業に対する評価としては、「応援したい」が特に高く、7割(「そう思う」と「どちらかといえばそう思う」の合計)に上った。次いで「商品・サービスを購入したい・利用したい」、「信頼できる」、「長期にわたって利用したい」が高い。【図表9】

・取り組む企業に対する情緒的価値としては、特に「時代変化に適応している」、「チャレンジ精神がある」、「長期的な視点で取り組んでいる」、「今後の取り組みに期待できる」が高い。【図表10】

・取り組む企業に対する機能的価値としては、特に「技術力・開発力がある」、「自然環境に配慮している」、「先進的な事業を行っている」、「世の中全体に役立つ技術をうみだす事業を行っている」が高い。【図表11】

 

2、「カーボンニュートラル」の取り組み結果、許容できるコストの範囲

・生活者に追加費用を許容できるかを聞いたところ、ほとんどの費用項目で約8割の人は許容できると回答。「飲食費」、「旅行やレジャーの費用」については、他の費用と比べてやや高めの費用負担を許容できる人が多い傾向にあった。【図表12】

 

【図表9】

Q. 「カーボンニュートラル」の実現に向けて取り組む企業に対する評価を教えてください。

 

【図表10】

Q. 「カーボンニュートラル」の実現に向けて取り組む企業に対する印象(情緒的価値)を教えてください。

 

【図表11】

Q. 「カーボンニュートラル」の実現に向けて取り組む企業に対する印象(機能的価値)を教えてください。

 

【図表12】

Q. 「カーボンニュートラル」 の取り組みの結果、関連する衣食住や移動などにおける追加の費用負担は、月いくらくらいまでであれば許容できますか

 

 

<カーボンニュートラルに関する生活者調査に関する概要>

・目的:日本におけるカーボンニュートラルに関する「認知・理解」や「興味・関心」などについて現状を把握し、今後の浸透の一助としてもらうため。

・対象エリア:日本全国

・対象者条件:17歳~79歳

・サンプル数:年代別・男女別(10代〜70代の7区分×男女2区分)で各100名ずつ、計1,400名。性年代で均等割付。回収集計時には人口構成比に合わせてウエイトバック集計を実施。

・調査手法:インターネット調査

・調査期間:2021年4月2日~4月4日

・調査機関:電通マクロミルインサイト

 


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