ブッキングドットコムは8日、「テック業界に従事する女性の体験と認識に関する調査」結果を発表した。
世界最大級の規模を誇る旅行関連のEコマース会社であり、デジタル・テクノロジーの先駆者である Booking.com (ブッキング・ドットコム)の日本法人 ブッキング・ドットコム・ジャパン株式会社(本社:東京都港区 代表:アダム・ブラウンステイン 以下:ブッキング・ドットコム)は今回、テック業界に従事する女性の体験と認識を把握すべく世界規模で実施された調査の結果を発表いたしました。
その結果、現在テック業界で働いている女性の5人に4人(83%)が今後5〜10年間この業界でのキャリアを継続するつもりだと回答しており、現在の役職と業界が持つ可能性について女性たちが自信を持っていることがうかがえました。加えて、テック業界で勤める女性たちが職場のジェンダー平等を改善するために自ら行える、または既に実行している取り組みの例や、この業界での女性の活躍を支えるために彼女たちが会社側に期待している施策についても、本調査で明らかになりました。
■現代のテック業界の女性たちは業界で働き続けることを望んでいる
ブッキング・ドットコムの調査によると、テック業界に留りたいという希望は経験年数を問わず多くの女性たちに共通していることが分かっており、経験年数1〜5年のキャリアの浅い女性の80%、10年以上の経験を持つ経験豊富な女性の83%、キャリアブレイク後に業界に戻ってきた女性の88%がテック業界に残りたいと回答しています。これらの数字から、テック業界でのキャリアを積むほど業界に対する女性の満足度は向上し、結果的に業界に留まりたいという意思につながっているということが推察できます。
テック業界に従事するインドと中国の女性(それぞれ96%と94%)は業界に残ることを特に強く望んでおり、アメリカとヨーロッパ諸国の女性たちに比べてもその想いは強いことが明らかとなっています。しかしそれと同時に、中国のテック業界では女性たちがガラスの天井(特定層の人々の昇進を阻む障壁)を経験していることも、調査によって判明しています。中国の回答者の実に43%(全世界で最高の数値)がテック業界では一定以上のキャリアを望めないと考えており、中国の女性たちがテック業界でのキャリア形成で困難を強いられている姿が見てとれます(全世界の平均は26%)。インドでは、他の市場と比較してキャリア形成にはさほど支障はなく、テック業界では一定以上の役職には就けないと感じているのは回答者のわずか17%でした。その一方、自身の貢献と意見がテック業界の職場で正当に評価されていないと強く感じるインドの女性は42%に上り、調査対象の市場で最高の数値を記録しています。この数字は世界の平均(20%)の2倍以上で、現地の職場の文化における重大な課題を示唆しています。
テック業界の女性たちは、自らの職責はさることながら、この業界に加わることを業界未経験の女性に薦めることにも強い意欲を持っているようで、テック業界に従事している全世界の女性の89%が、テック業界でのキャリアを次世代の高校生、女子学部生に薦めると答えています。市場全体を見ると、インド(97%)、続いてブラジル(95%)の女性たちが特にこのような熱意を抱いているという結果になりました。
「既にテック業界に従事しているか、いつかこの業界に加わることを願っているかを問わず、女性たちがテック業界でのキャリアの可能性に対し強い期待と望みを抱いているのは明らかです。全世界のテック業界で真のジェンダー平等を実現するためには、この期待感を活かし、才能のある女性を業界に呼び寄せつつ業界で長く務めることを奨励するような、多様性を重んじる文化を創り出すことが必要なのです。」とブッキング・ドットコムの最高経営責任者であるギリアン・タンズは語ります。 「次世代と積極的に関わり合ったり、自らの意見を積極的に述べたり、テック業界のジェンダーの多様性を改善するためのプログラムや取り組みを始めたりと、テック業界に身を置く女性たちが日々驚異的な活躍を見せる姿に、私たちは前へ進む勇気を与えられています。」
■テック業界での女性の成長を率先して支えている女性たち
勤務しているのが世界規模のテクノロジー関連の企業であれ、設立して間もないスタートアップ企業であれ、テック業界に身を置く女性たちは業界に根付くジェンダー多様性の問題を解消し、業界内の他の女性たちを支えるために自ら果たせる役割を大切に捉えています。全世界のテック業界の女性たち、そしてこの業界でのキャリアに関心のある女性たちが考える、女性のテック従事者が貢献できる主なことは、テック業界の経験と見解を他の女性と共有すること(46%)と他の女性を指導すること(44%)であることが明らかとなっており、特に女子学部生はこれらを最も重要なことだと感じています(それぞれ56%と50%)。次世代の女性テック従事者たちは、業界で働いている女性との交流を持ち、彼女から学んだり指導を受けたりしたいと強く望んでいます。
また、全世界の女性のうち約5人に2人(38%)は、テック業界で働く女性はSTEM(科学・技術・工学・数学)の分野やテック業界に身を置く女子学生や女性を支援する組織や非営利団体に加わることでジェンダー多様性を向上させることができると感じており、特に学部生の47%、インドの女性の46%、中国の女性の45%は同様に回答しています。
■女性たち自らの行動だけでなく、企業側の努力も必要
テック業界の女性たちは他の女性の背中を押したり、考え方を変えたり、テック産業で成功を収めることを阻む障壁を主体的に打ち壊すことができると感じている一方、テック業界には女性たちを支える取り組みに投資する責務があるとも考えています。世界中の女性の51%は、多様な労働力を確保するための雇用慣行を始めることを最も重要な第一歩として挙げていますが、同時に女性の51%しか今後5年間でテック業界でこのような変化が見られると考えていません。この数字から、企業側がより速く変化を押し進める余地があることがうかがえます。
「テック業界の女性たちについての数々の逸話を私たちは毎日のように聞いていますが、弊社の調査では、女性が業界で良い変化を進んで起こしていることが改めて分かってきました。しかし、テック業界や企業、ならびに政策立案者や教育者等を含む幅広い団体にも責任があることを私たちは認識する必要があります」とタンズは語ります。 「私たちには、永続的かつ大きな変化を実現し、次世代の女性テック従事者たちのための道標を残す機会があります。 ブッキング・ドットコムはこのビジョンを元に、リスボンで開かれる年に一度のWeb Summit(ウェブ・サミット)で、女性同士で交流を持ち、ネットワークを築き、そして経験を共有できるようWomen in Tech(ウィメン・イン・テック)ラウンジを設け、ブッキング・ドットコムの幹部職員や業界内の他のリーダーたちを話すことができる、女性向けの1対1のメンタリングセッションも実施する予定です。」
また、テック業界で実りあるキャリアを実現するために、女性が企業に期待しているその他の取り組みとして、平等な給与を支払うこと(43%)や職場での無意識の先入観についてのトレーニングを実施すること(42%)、スキル向上のための機会を定期的に用意すること(42%)なども挙げられています。近年は多くの企業が、女性たちがテック業界で充実したキャリアを掴むために必要な機会やリソース、サポートを提供する制度やプログラムを導入すべく大きな変革を行っています。しかし今回の調査により、職場でのジェンダー多様性を改善するためにはさらなる努力が必要であることが明らかとなりました。
※調査概要
ブッキング・ドットコムによって、世界10ヶ国(イギリス、アメリカ、フランス、ブラジル、オランダ、ドイツ、中国、オーストラリア、インド、スペイン)で6,898名を対象に独自に行われたものです。調査はオンラインアンケートで2018年8月2日~9月6日に行われました。