
全国で独立系ホテルのキャッシュバックポイントカードの運営を手掛けるAカードホテルシステム(東京都千代田区)は、同社が運営する「Aカードホテルネットワーク」の会員に対し、「出張ビジネスマンのホテル利用実態に関するアンケート」を1月8~15日にインターネットで実施した。対象はビジネスマンを中心とした会員4802人。その調査結果の一部を抜粋して紹介する。
【宿泊予約経路の推移】
2021年調査の出張ビジネスマンによる宿泊予約経路では、「自分でインターネットで予約する」比率が70%を占めている=図表1。
過去5年間平均では、約7割の比率を占めており、宿泊予約経路で、インターネットが過去一貫して最も大きな比率を占めていることが分かる。
【宿泊予約を行うタイミング】
出張ビジネスマンが宿泊予約を行うタイミングについても調査した=図表2。過去の調査と比較すると、21年は「1カ月前」「1カ月以上前」といった先行予約期間での比率がわずかに減少する一方で、「2~3日前」「1週間前」の比率が微増傾向になっているのが分かる。
近年は先行予約期間の長いインバウンド観光客によるホテル宿泊利用の急激な増加に伴い、出張ビジネスマンも宿泊予約するタイミングを早める傾向が続いていたものの、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、インバウンドを含めた観光需要が激減したことから、再び出張ビジネスマンの先行予約期間が短くなってきていることを示唆している。
【ホテルのリピート理由】
5年間の累積調査結果では、同じホテルを利用(リピート)したいという理由が、料金2割、立地2割、部屋2割、特典2割、予約1割、その他1割と、いくつかの要因にバランスよく分かれているのが分かる=図表3。
さらにこうした料金、立地、部屋、特典といったトップ4の要因も、さらに細かく要因分解してみると、
料金=低価格志向が5割程度ある一方で、高価格志向も同程度存在する
立地=駅近(4割)、目的地(3割)、繁華街(2割)
部屋=Wi―Fi(2割)、内装(2割)、ベッド(2割)、広さ(1割)
特典=キャッシュバック(3割)、予約サイトのポイント(2割)、ホテル独自のポイント特典(2割)
のように、トップ4それぞれ要因内の細分化された要素も、いくつかの要因にバランスよく分かれているのが分かる。
このことは、顧客選択理由=ホテルの魅力の訴求要因と捉え、自ホテルの強みや魅力を、特にインターネット上での訴求も含め、宿泊の各販売経路で十分アピールできているかを再度、顧客目線で検証することにより、ホテルが、顧客満足度を向上させると同時に売り上げを向上させる余地があることを示唆している。
【ホテルのサービス】
自由記述回答形式で、ホテル滞在中に利用できるサービスで、今後望むものや今までにあった便利なものについて調査した。図表4は、自由記述回答形式の文章の中から、同じ要素の要望を分類したもの。ハード面に関するリクエストが51.3%、ソフト面に関するリクエストが48.7%と、ソフト、ハードの両面でバランスよく要望している要素が存在していることが分かる。
ハード面では、大浴場に関する要望(12.6%)が一番大きい比率となっており、ソフト面では、ドリンク・サービス(13.4%)が一番大きな比率になっているのが分かる。また、今年の大きな特徴として、業務サービスに対する要望で新型コロナウイルス対策が上位に挙げられた。
【宿泊料金の支払い方法】
宿泊料金の主な支払い方法についても調査した=図表5。結果では、クレジットカード57.4%、現金28.0%と、昨年と比較してキャッシュレス決済の利用率が増加する結果となった。
その他電子決済サービスは主なサービスを含めても全体の15%程度となっている。
◆Aカードとは
全国独立系ホテルを中心としたキャッシュバックポイントカードのサービス。ポイント還元は現金で行われる。加盟ホテル・レストランは約510店舗で、会員数は108万人を超える。主な利用者は30~50代のビジネスパーソンで、特に出張の多いビジネスマンを中心に人気を集めている。