日本生産性本部は11日、生産性課題に関するビジネスパーソンの意識調査の結果を発表した。
調査研究や提言、実践活動により生産性向上をめざす公益財団法人日本生産性本部(東京都千代田区、理事長:前田和敬)の国際連携室(*)は7月11日、「生産性課題に関するビジネスパーソンの意識調査」の結果を公表しました。本調査は、労働生産性の現状認識や生産性向上の阻害要因、改善策等について、ビジネスパーソンの意識を定量的に把握し、論点を深耕させるための基礎資料とすることを目的として実施したものです。
・日本の労働生産性に対する危機感は、経営層で「かなり危機感がある」が41%と最多。一方、管理職・非管理職では「やや危機感がある」が最も多いが「わからない」も目立ち、役職によって温度差がある。産業別では、サービス産業に比べ製造業で危機感がやや強い。
・労働生産性の低い働き方と業務プロセスとしては、「無駄な業務が多い」が全ての役職で最も多く、4割以上を占める。「仕事のデジタル化が進んでいない」「新しいことにチャレンジしにくい組織風土」の割合は、役職が上がるほど高く、意識に差がある。
・付加価値向上のために重視すべき取り組みでは、経営者・管理職は「新しいビジネスモデル創造」に次いで「イノベーションを起こす」の割合が多いが、非管理職では「新しいビジネスモデル創造」に次いで「現状の業務改善推進」が多い。
・商品・サービス価格は、労働生産性を左右する要因の一つだが、「原価が上がっても価格転嫁できず、利幅が圧縮されている」との回答が全役職で3割以上を占め最多。対応方針については、回答が分散しているものの、「需給に合わせた価格設定(ダイナミックプライシング等)」や「商品・サービスの改善に応じた価格改定」「(原価低減などで利幅を維持・拡大など)安易な値下げ競争を避ける」が目立った。
・コロナ禍収束を見据えた生産性の高い組織のあり方として、「働く場所に制約がない働き方」「出社とテレワークを柔軟に組み合わせる」とする回答が全役職で約3割程度を占めた。コロナ前の組織体制に戻すとの回答は全役職で5%前後にとどまっている。
・SDGsやESG投資など多様なステークホルダーを重視した資本主義に基づく社会的役割を重視する経営については、「賛成できる」(「おおいに賛成できる」「やや賛成できる」の合計)が経営層・管理職で約6割を占める。
今回の調査は、従業員規模 300 人以上の組織で働くビジネスパーソン 2,746 名(会長・社長・取締役・執行役員などの「経営層」 546 名、部長・課長などの「管理職層」 1,100 名、係長・主任などの「非管理職層」 1,100 名)を対象に、 2022 年 4 ~ 5 月にインターネットを通じて実施しました。
(*)国際連携室では、第2次中期運動目標(2021~2023年度)「5. 国際連携活動の強化」の一環として、日米欧の経営リーダーによる生産性を軸とした対話、交流、共同研究・調査を本格化しています。 今回の調査結果は、「生産性経営者会議」や「日独生産性ビジネスリーダーズ・フォーラム(BLFP)」における議論の基礎資料として活用する予定です。
【別添】(資料1)「生産性課題に関するビジネスパーソンの意識調査」結果概要、(資料2)調査票
当本部調査・研究サイトもご参照ください。