INTEGRATED RESORTSは26日、大阪府と長崎県のIR事業に関する調査の結果を発表した。
INTEGRATED RESORTS(正式名称:Wabi Sabi Interactive Ltd.、本社所在地:アイルランド・ダブリン)は、統合型リゾート(IR)政策について独自に研究( https://www.integratedresorts.jp/japan-ir-application-analysis-osaka-nagasaki-applications/ )を進めています。
今回、2022年6月に国土交通省が発表した経済政策文書( https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/cabinet/2022/2022_basicpolicies_ja.pdf )内のインバウンド政策の要あるカジノリゾート方針と地方自治体の誘致動向について、大阪府と長崎県がIR事業に成功するかの調査を実施しました。
【カジノに近い娯楽サービスを元にしたデータ】
パチンコ店舗数、パチンコプレイヤー数(25歳以上)、ゲームセンター数、インターネット普及率、外国人観光客数など、数値の相関関係を分析しました。
■データソース
STATISTICS JAPAN *1( https://stats-japan.com/t/kiji/12001 )
*2( https://stats-japan.com/t/kiji/22044 )
*3( https://stats-japan.com/t/kiji/12028 )
*4( https://stats-japan.com/t/kiji/15280 )
Statista *5( https://www.statista.com/statistics/657560/japan-most-visited-prefectures-by-foreign-tourists/ )
パチンコ店舗数の上位1位に鹿児島県で10万人あたりの店舗数が18店、東京都(45位)は下位3位に位置しています。下位5位に入っている都府県の10万人あたりのパチンコ店舗数の数は、鹿児島の半数以下に下回ります。10万人あたりのパチンコ店舗数で1位になっている鹿児島県の平均パチンコプレイヤー人数は2位。東京都(46位)は下位3位に位置しています。ゲームセンターの店舗数では東京都(1位)は上位3位に入り、鹿児島県は36位に下がります、インターネット普及率においては東京都は85.1%ともっとも高くパチンコ店舗数では上位に入っていた鹿児島県(64.85%)は、下位4位に入っています。
【データから示されること】
東京のように規模が大きく、都会化が進んでいる都市においては、既存の娯楽に囚われているような様子はあまり見受けられずパチンコのような昔からある娯楽への興味よりも、インターネットやTVゲームといったより新しい技術を使用しているものに遷移していると言える。大都市圏に居住する人の平均年齢が日本全体の中でもっとも低いという事実にも関連しているのでしょう。それに対して、インターネット普及率が低く、TVゲームにあまり興味を示さない鹿児島県や高知県といった場所ではパチンコといった昔からある娯楽に対して高い関心を示しています。
【長崎県と大阪府の誘致申請と背景】
長崎県は既存の考え方に沿ってIR誘致申請をしています。パチンコ店舗数(4位)やパチンコプレイヤー数(12位)では上位に位置していることから県内のギャンブルに対する関心は国内においても高いものだと言えるでしょう。そして、外国人観光客の訪問率が低くなっているため(1.3%)、IRには国内からの観光客を呼び込むことも目的にしているように考えられます。
一方で、長崎県独自が策定した長崎IR構想骨子( https://www.pref.nagasaki.jp/shared/uploads/2017/10/1509087397.pdf )によると、長崎県観光振興条例が制定されており、そこでは観光立県になる目的が謳われています。「IRの導入は、全国有数の観光地である長崎県の魅力をさらに引き上げ、県内のみならず九州の観光振興の起爆剤となります。長崎県は、(1)アジアとの近接性、(2)国際的にメッセージ性の高い観光資源、(3)ハウステンボスとの相乗効果、(4)行政、議会、民間の連携、(5)九州広域の多様な観光資源との連携などの高いポテンシャルを有しており、地方創生型IRの最適地と言えます。」(以上「長崎IR構想骨子」より抜粋)
以上からわかるように、この骨子では、東アジアの国際観光産業と地域の再活性化が、近隣地域における観光産業の重要な課題になっていることが強調されています。
総論:長崎県におけるIR誘致の主な目的として、構想骨子では外国人観光客の呼び込みが最初に挙げられていますが、データを鑑みると開業後数年は近隣在住者と日本人観光客の訪問を頼らざるを得ないと推測されます。
大阪府は、従来とは違う考え方を持ってIR誘致申請を進めています。大阪府は外国人観光客の訪問者数のうち1/3(33.4%)が訪れている場所であり、大阪府が掲げる主な構想は、外国人観光客が日本に滞在している間にIRで充実した時間を過ごすために誘致するというものです。
大阪府はインターネット普及率も高く (5位)、国内での平均年齢を比較しても、平均年齢がもっとも低い場所のひとつです。大阪府は今の時代潮流に身近に触れられる、若く活気にあふれた場所なのでしょう。ギャンブルに一定の関心を示している年齢層もいますが、パチンコの人気が高い保守的な県における関心とはまた異なる形への興味と言えます。
注1 統合型リゾート(IR):カジノのほかホテルや劇場、国際会議場や展示会場、ショッピングモールなどが集まった複合的な施設のこと