【データ】 2019年ホテル宿泊客満足度調査 J.D. パワー調べ


 J.D. パワーは14日、2019年ホテル宿泊客満足度調査の結果を発表した。

CS(顧客満足度)に関する調査・コンサルティングの国際的な専門機関である株式会社J.D. パワー ジャパン
(本社:東京都港区、代表取締役社長:山本浩二、略称:J.D. パワー)は、2019年 ホテル宿泊客満足度調査℠の結果を発表した。

ホテルの会員プログラム加入率、公式ウェブサイトで直接予約比率は増加
 近年、会員プログラムを積極的に展開するホテルブランドが増加しているが、当調査でも直近に宿泊したホテルの会員プログラムの加入率は全体で26%となり、10年前の2009年と比較すると9ポイント増加していることが確認できた。
また会員プログラムと並び、各ホテルブランドでは、ホテルの公式ウェブサイトでの直接予約の促進に注力しているが、当調査でも7年前の2012年と比較すると、全体では17%から22%に増えていることが確認できた。

 直接予約の理由をみると、全体では、「予約が簡単」(62%)、「会員制度のポイントが貯まる」(33%)、「事前に部屋タイプを選べたり、部屋や寝具などの好みを伝えることができる」(22%)、「直接予約の特典がある」(20%)、「最低料金を保証している」(20%)などが上位に挙げられている。特に直接予約の比率が高い「1泊9,000円未満部門」では、他部門以上に「予約が簡単」(65%)、「会員制度のポイントが貯まる」(37%)の割合が高く、これらの理由が直接予約の利用促進につながっていると推測される。

中価格帯ホテルにおける会員プログラム、直接予約の低迷
会員プログラムの加入率についてホテルの価格帯別にみると、当調査の最高価格帯である「1泊35,000円以上部門」と最低価格帯である「1泊9,000円未満部門」では10年前と比較するとそれぞれ10ポイント以上の増加が見られたが、中価格帯の2部門(「1泊9,000円~15,000円未満部門」及び「1泊15,000円~35,000円未満部門」)では伸びが小さく、特に「1泊9,000円~15,000円未満部門」においては僅か2ポイントの増加で、加入率自体も17%と低い水準に留まっていることがわかった。
また、公式ウェブサイトでの直接予約についても、最高価格帯並びに最低価格帯のホテルでは、2012年との比較で5ポイント以上の増加が見られたが、中価格帯のホテルではほとんど伸びが見られず、直接予約の割合も2割に満たない現状が明らかになった。
会員プログラム加入者(以下、会員とする)における公式ウェブサイトでの直接予約の比率をみると、「1泊9,000円未満部門」では会員の56%が直接予約をしているのに対し、「1泊9,000円~15,000円未満部門」では36%に過ぎず、会員であっても過半数が予約サイト経由で宿泊予約を行っていた。
顧客満足度との関係をみると、「1泊9,000円未満部門」ではホテル会員が直接予約した場合の総合満足度並びに料金評価は、予約サイト経由の宿泊客より高いのに対し、それ以外の部門では会員であっても予約サイトで予約したほうが満足度が高いことが明らかになった。これらのことから、「1泊9,000円未満部門」においては、会員プログラムと公式ウェブサイトでの直接予約の普及促進がうまく進んでおり、満足度にも寄与しているが、それ以外の部門、特に中価格帯では苦戦している様子がみてとれる。
また、部門を問わずホテルブランド別でみても、会員プログラム加入率と直接予約比率には、全宿泊客の3分の1以上を占めるブランドもあれば5%にも満たないブランドもあり、ブランド間での大きな格差が見られた。
既に多くのホテルブランドで会員プログラムや公式ウェブサイトからの直接予約システムを用意しているが、顧客にとって魅力と感じられていないホテルブランドがあることが考えられる。顧客満足度やロイヤルティを向上し収益増につなげていくためには、会員プログラムや直接予約を単に制度として用意するだけではなく、それぞれの価格帯の宿泊客層に合った優位性や利便性を提供し、しっかりと訴求することが必要といえよう。

総合満足度ランキングは下記の通り。

<1泊35,000円以上部門>(ランキング対象10ブランド)
第1位:ザ・リッツカールトン (807ポイント)
「客室」「ホテル施設」「F&B」「ホテルサービス」の4ファクターでトップ評価。
第2位:帝国ホテル (802ポイント)
第3位:インターコンチネンタルホテル、マリオットホテル (760ポイント、同点)

 

<1泊15,000円~35,000円未満部門>(ランキング対象27ブランド)
第1位:ロイヤルパークホテルズ (761ポイント)
「客室」「ホテル施設」「F&B」「料金」の4ファクターでトップ評価。
第2位:ホテル日航 (751ポイント)
第3位:ラビスタ (743ポイント)

 

<1泊9,000円~15,000円未満部門>(ランキング対象19ブランド)

第1位:ベッセルホテルズ (722ポイント)
「料金」でトップ評価。
第2位:リッチモンドホテル (717ポイント)
第3位:カンデオホテルズ (715ポイント)

<1泊9,000円未満部門>(ランキング対象19ブランド)

第1位:スーパーホテル (703ポイント)
6年連続の総合満足度第1位。「チェックイン/チェックアウト」「ホテルサービス」「予約」の3ファクターでトップ評価。
第2位:ホテル法華クラブ (696ポイント)
第3位:ヴィアインホテル (681ポイント)

 J.D. パワー 2019ホテル宿泊客満足度調査℠概要 

年に一回、日本全国のホテルグループ・チェーン*1を対象に、直近1年間に宿泊したホテルに対する満足度を聴取し明らかにする調査。今年で14回目の実施となる。
ホテルの提示する正規宿泊料金や客室面積をもとに「1泊35,000円以上」「1泊15,000円~35,000円未満」「1泊9,000円~15,000円未満」「1泊9,000円未満」の4部門*2に分け、それぞれにおける宿泊客満足度を測定している。

*1  国内において統一ブランド名で運営しているホテルの総客室数が500室以上 かつ、事前調査により一定水準のサンプル数を満たした
107ブランド
*2 ・1泊35,000円以上部門 :正規料金の最多価格帯35,000円以上
・1泊15,000円~35,000円未満部門:正規料金の最多価格帯15,000円以上35,000円未満
・1泊9,000円~15,000円未満部門 :正規料金の最多価格帯9,000円以上15,000円未満、もしくは最多価格帯が9,000円未満かつ最多客室面積が15㎡以上
・1泊9,000円未満部門 : 正規料金の最多価格帯9,000円未満かつ最多客室面積が15㎡未満

■実施期間:2019年8月~9月 ■調査方法:インターネット調査
■調査対象:全国の18歳以上の男女
■調査回答者数:1泊35,000円以上部門 2,983名、1泊15,000円~35,000円未満部門 7,877名
1泊9,000円~15,000円未満部門 6,022名、1泊9,000円未満部門 6,759名

総合的な顧客満足度に影響を与えるファクターを設定し、各ファクターの詳細評価項目に関するユーザーの評価を基に1,000ポイント満点で総合満足度スコアを算出。顧客満足度を構成するファクターは、「予約*3」「チェックイン/チェックアウト」「客室」「料飲(F&B)*4」「ホテルサービス*5」「ホテル施設」「料金*6」となっている。

*3 電話及びウェブサイトを通じホテルもしくはホテルグループ・チェーンに直接行った予約の評価
*4 「1泊9,000円未満」部門では、レストラン・バー・ラウンジ施設を附帯しないホテルブランドを考慮し「朝食」として提供される料理や
施設全体の評価を採用
*5 レジャー/フィットネス施設、温泉・浴場施設、ビジネスセンター、インターネット接続サービス等、附帯施設やサービス全体の評価
*6 客室料金、通話料金、F&B料金など滞在中に費やした費用全体の評価

*J.D. パワーが調査結果を公表する全ての調査は、J.D. パワーが第三者機関として自主企画し実施したものです。


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