ブッキングドットコムは5日、「2020年夏の日本の旅行者の傾向」を発表した。
多種多様な宿泊施設や旅ナカ体験、旅行中のシームレスな移動手段を提供する世界最大級の宿泊予約サイト Booking.com の日本法人 ブッキング・ドットコム・ジャパン株式会社(本社:東京都港区 以下:ブッキング・ドットコム)は、日本在住者の予約データを分析し、2020年夏の旅行動向を公開いたします。今回の分析では、コロナ禍で海外旅行に行くことが難しくなった日本の旅行者が、近場の国内旅行を楽しんでいることが表れています。
新型コロナウィルス感染症の拡大という未曽有の事態となった現在、旅行のあり方はこれまでのものから変化しています。2020年は、海外旅行には行けず旅行計画は大きな変更を余儀なくされた一方で、家から近い目的地を訪れ、これまでは見えてこなかった隠れた魅力を再発見する機会となりました。
◆幸福度は距離では表せない
2020年6月~8月に日本在住者がブッキング・ドットコムで旅行した人の傾向を分析(予約をした地点から宿泊施設までを直線距離に換算)したところ、平均543kmであることがわかりました。2019年同時期には、たった1回の旅行で平均1,575kmも移動していることから、旅行時の移動距離が短くなっていることがわかります(1)。また、2020年6月1日から8月31日までの間に日本の旅行者が移動した総距離のうち、89%(2)が日本国内での移動だった一方、2019年同期間の国内移動の割合はわずか23%で、そのほとんどが海外旅行に費やしたものだということが分かります。このように国内移動の距離が2020年では前年に比べ約66%増加しており、日本の旅行者が国内旅行を少しずつながらも楽しんでいることが伺えます。多くの人々が移動制限や、ソーシャルディスタンス確保などの制約により、会うことのできなかった家族や友人と再会する機会を持つことが徐々にできるようになってきました。ここから、海外旅行が難しい時期であっても、旅行好きの日本の人々は国内旅行を楽しむことで、身近なところから旅行する幸せを味わうことができたといえるでしょう。
◆国内の魅力を再発見
2019年6月から8月までと2020年同時期を比較し、最も予約数の多かった日本の目的地を比較したところ、国内で特に人気が高かったのは、静岡県下田市、北海道富良野市、静岡県伊東市、東京都立川市、そして神奈川県鎌倉市*ということが判明しました(3)。このことから、この夏は、日本の旅行者の傾向として、静かな海辺や美しい自然の景観といった日本の昔ながらの自然や温泉などに注目が高まっており、このような地域へ旅行することにより、日本の魅力を再発見したと考えられます。
様々な地方への旅行人気が高まり、日本の良さが再確認された一方で、この夏、日本の旅行者の間で最も予約数が多かった都市として東京、大阪、京都、福岡、そして名古屋が上位にランクインしました。長年に亘り多くの人からお墨付きをもらっている都市部の定番スポットも依然として高い人気を保っています(4)。
また、宿泊施設のタイプ別でみると、2020年は2019年よりも、ソーシャルディスタンスを保ちながら自分たちのペースでゆっくりと滞在を楽しめる別荘やヴィラなどの民泊施設や、旅館が選ばれる傾向が見受けられます(5)。なお、世界的なパンデミックが起こり、旅行ができなくなるとは予想すらしていなかった2019年の終わりごろは、「民泊を利用したい」と回答した人は16%で、76%が従来型のホテルに泊まりたいと回答していたことからも、新型コロナウイルスの影響で人々の考え方が大きく変化したことが分かります(5)。
*静岡県下田市:https://www.booking.com/city/jp/shimoda.ja.html
北海道富良野市:https://www.booking.com/city/jp/furano.ja.html
静岡県伊東市:https://www.booking.com/city/jp/ito-jp.ja.html
東京都立川市:https://www.booking.com/city/jp/tachikawa.ja.html
神奈川県鎌倉市:https://www.booking.com/city/jp/kamakura.ja.html
◆今年の夏の旅行計画は、想定外の道のり
2019年11月にブッキング・ドットコムが実施した2020年の旅行に関する調査では、日本の旅行者は、活気ある都市部への旅行(54%)やイベント参加(24%)を計画している多くの旅行者がいました(6)。また、旅行が制限されることになるとは知らず、家族や友人に会うため旅行を計画する人もいました(22%)(6)。(赤字は世界平均を上回った数値、青字は世界平均を下回った数値を記載)
2020年は感染拡大の影響により、旅行のあり方や目的地の選び方は劇的に変わったものの、いつもとは違った形の旅行であっても依然として多くの人々の旅行欲を満たすことができることがわかりました。従来は、ハワイやニューヨークといった遠い地域への旅行によって旅行欲を満たしていましたが、近場の旅行でも楽しめるのだと、2020年は多くの人が発見したと予想されます。
ブッキング・ドットコム CMO兼シニア・バイスプレジデントのアルヤン・ダイクは以下のように述べています。:
「現在のような未曽有の状況下で、私たちの計画や優先事項は変わっても、旅行への情熱は変わっていなかったことを心強く思います。楽しい思い出ができたり、家族や友人との絆が深まったり、たくさんの笑顔が生まれたり、旅行がもたらしてくれる幸せというのは、どこまで行ったかというキロやマイルなどの距離で測るものではなく、身近なところにもたくさんの冒険や、心を癒してくれる場所はあるということを2020年の夏が証明してくれました。『すべての人に、世界をより身近に体験できる自由を』という我々の使命をもとに、安全に旅行ができるようになった時、それが近くであれ遠くであれ、皆様が様々な旅行体験を楽しめるように、幅広い選択肢と価値のある旅行、そしてスムーズな予約体験を提供し続けてまいります。」
データの算出方法
- 平均キロ数は、IPに基づく予約者の推定所在地と目的地との間の直線距離。前年との比較は、日本の旅行者が2020年6月1日から8月31日までの間に行った予約を、2019年同時期と比較。
- 日本の旅行者が移動した総距離の割合は、すべての旅行の出発地点から目的地までの絶対距離の合計に基づいて算出。
- 人気の旅行先は、2020年の6月から8月までの間の最も予約数の多かった日本の目的地の上位100位までを、2019年の同時期のものと比較。
- 2020年6月1日から8月31日までの間に日本の旅行者の間で最も予約の多かった旅行先。
- 人気の宿泊施設タイプは、2020年6月1日から8月31日までの間に日本の旅行者に最も予約されたものを2019年同時期と比較。海外旅行および国内旅行を含む。
- ブッキング・ドットコムにより実施された調査で、29の国と地域の50,688名が回答(うち日本の回答者は1,952名)。調査の対象者は、18歳以上で過去12カ月間に少なくとも一回は旅行をしたことがあり、その旅行の主たる意思決定者である、もしくは決定に関わった者とした。調査は2019年11月にオンラインで行われた。