コロナ下の編成、補正にも対策事業
観光経済新聞社は、47都道府県の観光担当部課を対象に、2021年度当初予算の観光予算額についてアンケート調査を実施した。地方ブロックごとに回答結果を紹介する。新型コロナウイルス感染症の流行が収束せず、観光産業への影響が深刻となる中、継続事業に加えて、観光事業者への支援、旅行・観光需要の喚起などに予算を充てる自治体が多い。当初予算の編成に前後する補正予算にも大型の観光予算が計上されている。
21年度当初予算「観光予算額」は、各自治体の観光担当部課に計上した予算額について回答を求めた結果。国の補助金などを充てた事業の予算額は含めているが、職員給与費は除外して回答してもらった。調査票は4月中に発送し、5月14日を期限としたが、一部は期限を過ぎて回答を回収した。
観光予算は自治体によって観光担当部課に計上する事業の性格に違いがあるほか、組織再編、大型施設整備、基金・ファンド創設などに伴う増減を考慮する必要があり、都道府県間の比較、前年度との比較などには注意が必要だ。当初予算を補正予算と一体で編成する場合もあり、当初予算だけで予算規模の全体は把握できない。
特に新型コロナの流行以降は、幅広い使途に活用できる「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」が国から都道府県に措置され、域内旅行費用の割引キャンペーン、観光関連事業者の感染防止対策支援など、観光施策の大型事業に充当されている事例も多い。また、コロナ禍に伴い前年度から繰り越しとなる予算も少なくない。
コロナ禍の影響では、出入国の制限で訪日外国人旅行者の誘客が困難で、インバウンド関係の予算に影響が及んでいるとみられる。
観光当初予算額が前年度を下回っていても、補正予算に当初予算額を上回るコロナ対策などの大型予算が組まれているケースが目立つ。例えば、福岡県の観光当初予算は前年度比89・6%だが、20年度2月補正の観光予算額を含めると237%になる。
自治体別の各表のうち「観光予算額」に付け加えた注釈の部分は、予算の大幅な増減などの要因として留意すべき事項の欄に記入があった自治体のみ要因などを記載した。
「予算額上位」の項目は、当初予算の観光予算額の中で金額の大きい上位五つの事業について回答してもらった結果。
「分野別主要事業」の項目では、域内旅行を含む日本人国内旅行誘客促進▽インバウンド(訪日外国人旅行)誘客促進▽観光資源発掘・磨き上げ、受け入れ態勢整備、マーケティング▽観光産業の振興・支援、人材育成、DMO推進―の4分野の主要な事業を聞いた。
「20年度・21年度補正予算」の項目は、当初予算と一体で編成された20年度補正予算、または21年度補正予算に計上した主要な観光予算を回答してもらった。
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