九州経済調査協会は12日、「2021年4月・GWの宿泊施設稼働状況(宿泊稼働指数)」を発表した。
本レポートでは、市区町村別の宿泊施設の稼働状況をリアルタイムで把握できる「日次宿泊稼働指数 」を活用し、2021年4月およびゴールデンウィークにおける新型コロナウイルス感染拡大による宿泊施設への影響を分析しています。
■全国の宿泊稼働指数:3カ月ぶりに悪化
2021年4月における全国の宿泊稼働指数は23.0となり、前月の33.2を上回り、3カ月ぶりに低下した(図1)。3月は第3波に伴う緊急事態宣言の解除もあり上昇したが、4月は感染が再び拡大したことで稼働が低下した。なおコロナ禍による宿泊稼働の悪化から1年が経過したことで、前年差では+18.0ptと、2カ月連続で前年を上回っている。
■地方ブロック別の宿泊稼働指数:全地域で前月を下回る
2021年4月の宿泊稼働指数を12の地方ブロック別にみると、全地域で前月を下回った(表1)。影響の大小はあるものの、第4波の影響が広範な地域に広がった。特に東海(15.6)、南関東(18.5)、近畿(19.4)など感染が広がった大都市を含む地域で低水準が続いている。
■都道府県別の宿泊稼働状況:一部地域で前年に近い水準まで低下
2021年4月の宿泊稼働指数を47都道府県別にみると、茨城県を除く46都道府県で前月を下回った(表2)。特に、関東周辺では栃木県(前月差▲11.5pt)、千葉県(同▲9.3pt)、神奈川県(同▲9.8pt)、長野県(同▲10.9pt)、静岡県(同▲11.3pt)、近畿周辺では京都府(同▲17.5pt)、兵庫県(同▲15.7pt)、和歌山県(同▲20.2pt)のように大都市の周辺地域が目立つ。感染拡大を受け、大都市からの人流が抑制されたとみられる。また前年差でみると、全都道府県で前年を上回っているものの、8府県ではプラス幅が10未満にとどまるなど、1度目の緊急事態宣言下で大きく悪化していた前年4月に近い水準になっている。
なお、福島県が対前月で大幅に低下したのは、福島県沖地震(2月13日)の影響(施設の休業による在庫の減少、および復旧関係者による宿泊需要)が一巡したことが要因とみられる。また茨城県が唯一前月を上回ったのは、工場火災の復旧支援に伴う宿泊需要が寄与したためとみられる。
■ゴールデンウィークの動向
第4波が拡大するなか4月は後半に向けて稼働指数の低下が進むなかで、4/29~5/9のゴールデンウィーク期間においては一部で稼働の上昇もみられた(図2)。ただ、この間の全国の稼働指数(原数値)のピークは5/2の47.6にとどまった。第3波が本格化する前の2020年11月頃の平均の水準であるが、この1年間の連休期間と比べて低水準にとどまった。4/29~5/9の平均(原数値の平均)は22.4であり、4/1~4/28の平均23.5をも下回っている。稼働指数は連休前半の5/1~5/4にかけて一時的に上昇したが、その後は連休前よりも悪化している。
ゴールデンウィークによる指数の押し上げが限定的だったのは、この間に感染の拡大傾向が強まったことが要因として大きい。特に九州では、この間に感染の急拡大がみられ、福岡県には5/12より緊急事態宣言が発令されることになった。連休前半の伸びは弱く、さらに連休後半には大きく悪化していることから、外出が自粛されたものとみられる。一方、発地となる地域で感染が拡大しているにもかかわらず、稼働の高まりが強かった地域もある。連休前(4/1~4/28)と連休中(4/29~5/9)の平均値を比較すると(表3)、沖縄、東海、甲信越、近畿では連休前より連休中の指数が高くなっており、今後の感染状況に注意が必要であろう。
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