東京都における7月16日時点での新型コロナウイルス感染症累計罹患者数は、人口比で約0.063%(6月29日時点では約0.045%)であり、1,000人当たり約0.63人でした。また、7月16日時点での全国平均値は1,000人当たり約0.18人(6月29日時点で約0.14人)、全世界では1,000人当たり1.8人(6月29日時点で約1.3人)という状況です。さらに、東京都における7月15日時点における治療中罹患者数は、100万人当たりで105.1人(6月28日時点で約32.8人)という状況です。このように依然として、終息の気配は見られず、世界的規模で感染拡大が続いています。そのような中、先日WHOから、「空気感染も否定できない」との見解が発表されました。
せきやくしゃみをすると、唾等の水滴が飛び散ります。そしてこの細かい水滴を飛沫と言い、水滴である飛沫にウイルスが含まれていた場合、これを吸い込むことで感染するのが飛沫感染と言われ、今回の新型コロナウイルス感染症の感染経路と言われてきました。その他では接触感染でした。今回はそれらの感染経路に加えて「空気感染」という言葉が新たに出てきたことになります(あくまでWHOの見解であることに留意)。空気感染とは別の言い方で飛沫核感染ともいいます。飛沫核とは、飛沫の水分が蒸発した小さな粒子のことで、これを吸いこむことで感染するのが空気感染です。飛沫では、その大きさが0.005mm以上であり、水滴の重さで1m~2mで地面に落ちますが、それよりも小さい粒子が飛沫核と言われ、一定時間空間に漂います。空気感染とは区別して、飛沫感染と空気感染の中間的位置づけられ、一定時間ウイルスが漂うことで空気感染と近い状況が起こり得るエアロゾル感染と言われる感染経路があります。これまでは、飛沫感染及び接触感染を念頭とした対策が中心であったことから、今後この新たな感染経路を意識した取り組みを進める必要があります。
空間消毒に関しては、薬剤を空間に噴霧することに対し多大な注意が求められます。内外専門家や専門機関から薬剤の空間噴霧はどのような形であっても推奨できないと言われています。その他では紫外線照射やオゾンによる空間曝露が挙げられますが、いずれも危険が伴うもので、間違っても人がいる環境で使用できません。またオゾンでは6ppmの濃度で約55分曝露しないと効果がないともいわれており、日常客室消毒には不向きと言えます。つまり、今回の「空気感染」あるいは「エアロゾル感染」に対しては、徹底した「換気」を行うことが重要ということになります。客室については、顧客に安全行動指針を示し(予約時より事前に情報発信することが望ましいです)、宴会場やレストラン会場においても、窓を使用した換気の徹底が望まれます。つまり、今後の感染症対策としては、飛沫感染に対する3密を避けること、マスクを着用すること等の他、徹底した空間換気の実践という物理的あるいは環境的対策及び接触感染を回避するための衛生的対策である消毒の徹底が挙げられます。
一般社団法人観光品質認証協会 統括理事
㈱サクラクオリティマネジメント 代表取締役
㈱日本ホテルアプレイザル 取締役
不動産鑑定士,MAI,CRE,FRICS 北村 剛史