弊会では2月以降、感染症対策検討委員会を複数の専門家の皆様とご一緒に発足し、今年の5月以降全国各地の宿泊施設の感染症対策をサポートして参りました。それらの中で、この冬場、特に求められるであろう視点を前回に引き続きご紹介したいと思います。
▽エントランスの消毒液は適切な濃度を使用し、且つ両手を丁寧に消毒できるようバゲージラックをセットで配置しているでしょうか?
▽消毒液で自動噴霧器の場合は、お子様が触れて目にはいるようなことがないよう配慮されているでしょうか?
▽接触感染対策であるテーブルの消毒では、適切な濃度(エタノール濃度70%~80%程度)が使用されているでしょうか?
▽レストラン等のテーブル等の消毒では、往復拭きではなく、一方向に拭き上げできているでしょうか?※往復拭きでは、少しでも残ったウイルスが元の場所に戻り、且つ広範囲に広がってしまう恐れがあります。
▽レストラン等のテーブル等の消毒では、テーブルの側面までケアができているでしょうか?
▽レストラン等のテーブル等の消毒では、事前に汚れを取った後に実施できているでしょうか?
▽レストランでのナフキンやカスターセット、お皿やお箸、シルバーウェア等の提供は、個々の顧客に分けて提供されているでしょうか?
▽レストランでは換気が徹底されているでしょうか?
▽レストラン等で列が生じることがないようソーシャルディスタンスが守られているでしょうか?
▽共用トイレでは、トイレエチケット(カバーを閉じて流すこと)の協力を要請できているでしょうか?※今回のウイルスが体外に排出される場合、口からの飛沫よりも、便からの排出量の方が多いと報告されており、且つ陰性化した後も長く排便に確認されています。
▽共用トイレの換気は徹底されているでしょうか?
▽マスクは不織布マスクの活用をスタッフ間で徹底できているでしょうか?
▽エレベーターホール及びエレベーター内のボタンは定期的に消毒できているでしょうか?
▽客室ドアの消毒は都度消毒できているでしょうか?
▽客室内では、これまでウイルスが多く認められてきました接触頻度の高い、リモコンボタン、各種ボタンの他、テーブル上、ボールペン、椅子の取っ手、ベーシン、トイレレバーや各種ボタン等の消毒ができているでしょうか?
▽シーツの取り換え時に特に枕で汚れが目立つ場合は中身の洗濯もできているでしょうか?
▽上記客室内の消毒では、事前に汚れを取った後に、適切な濃度で一方拭きで行われているでしょうか?
▽フロントで使用するボールペンは定期的に、あるいはできればこの冬場については使用の都度消毒ができているでしょうか?
▽この冬場が重要局面であることを十分に理解し、リスクの高い場所には、顧客が自由に自身で消毒できるよう消毒セットが設置されているでしょうか?
▽館内の出入り口が複数ある場合には出口用扉と入り口用扉を分け、混線を防いでいるでしょうか?
▽バックヤードでは、換気の徹底、整理整頓、触ったスタッフが自身で消毒を行うこと等ができているでしょうか?
▽大浴場、スパ、エステのタオルは積み上げることなく、小分けで提供できているでしょうか?※手洗い場の整髪料や歯磨きセット等も求めに応じて提供し自由に取れるようなセッティングをしないこと。
▽感染症を想定した定期訓練ができているでしょうか?
▽大浴場、サウナでは、飛沫感染対策として入場制限はできているでしょうか?
▽エレベーター内に入場制限に繋がる足跡ステッカーが設置されているでしょうか?
▽フロント前やレストラン入り口の混雑を避けるよう、足跡ステッカーや予約制を実施できているでしょうか?
▽売店では密回避の他、入り口で手指消毒ができるよう配慮されているでしょうか?
▽スタッフの手指消毒は適切に行っているでしょうか?※手のひらにくぼみを作って反対側の指先をまず浸し消毒します。残った消毒を手のひら全体に良くのばし、さらに逆の手にもくぼみをつくって同じ動作を反対側の手も繰り返します。最後は手指で終わる必要があり、手首は触らないこと。
▽レストランやバー等では、BGMの音量を落とす配慮ができているでしょうか?
▽喫煙所では人数制限の他、足跡ステッカーが設置されているでしょうか?
来年の春先までは気温及び湿度が低い環境であり、3感染経路の徹底防御が求められます。ワクチン開発も進んでいますが、今こそこれまでの取り組みを集大成し、顧客視点をもって顧客の安全と高いレベルの安心感を提供すべき時期となります。
一般社団法人観光品質認証協会 統括理事
㈱サクラクオリティマネジメント 代表取締役
㈱日本ホテルアプレイザル 取締役
不動産鑑定士,MAI,CRE,FRICS 北村 剛史
北村氏