弊社の顧客ニーズ調査では、今回の新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが終息したとしても、継続して消毒等をしてほしいという回答が非常に多いという結果でした。
新規ホテル開発ではゼロベースでの感染症対策の構築が可能ですので、再度の感染症拡大脅威に備えて、以下のようなハードウェアの検討が必要ではないかと思われます。
▽エントランスでは、できれば入り口用ドアと出口用ドアを分けて混線を防ぐこと。
▽入館用ドアは、できるだけ接触しないよう可能な限り自動ドア導入を検討すること。
▽ロビーの規模に関しては、1当たりの換気量(ビル管理法等では1人当たり30㎥/時間以上)をできるだけ引き上げる採用される設備水準とのバランスで決定すること。▽ロビーの椅子や全館通じて採用する家具類は、消毒耐性の強い素材を検討しておくこと。
▽チェックインやチェックアウト時にフロント前が混雑しないよう、十分なカウンター数を設置するか、自動チェックイン機の導入を含めた密回避を検討すること。
▽顧客の一時的な隔離が必要となる場合に備え、客室以外での隔離スペースを選定し検討しておくこと。
▽フロントカウンターでは、グループ同士が横並びになっても十分な距離を確保できるよう配慮すること。
▽フロントやロビーからバックヤードへの移動の際には、上着を脱ぐ等中間スペースを配置すること。
▽客室内のダイレクトリーはブック素材ではないデバイスやテレビ等での表現ができるよう検討すること。
▽客室内の機能性備品は、できるだけ非接触型や消毒しやすい素材とすること。
▽テレビのリモコンは、万一時に消毒がしやすい形態や素材を検討すること。
▽客室内のカーテンは、自動カーテンとするか、消毒がしやすいようにバーでの操作ができるようにしておくこと。
▽バスルーム内のベーシンは水が飛び散らないものを丁寧に選定すること。
▽バスルーム内のトイレでは高い換気力とすること。
▽朝食会場については、感染症が生じた際に備え、席配置として1人当たりの店内面積3㎡程度を想定した場合の席配置レイアウトとその際の収容人数と宿泊収容人数とのバランスを確認し、必要な店舗規模を検討すること。
▽レストランではできるだけ横並びの席配置を避けるようレイアウトを検討しておくこと、または、横並びの配置であっても、席同士が十分な距離を確保すること。
▽エレベーターボタンや階段手摺、客室ドアノブ等人が接触するような部位は、エタノール消毒に対する耐性の高い素材を検討すること。
▽エレベーターの運搬力(規模等)は、万一時に備え、人同士が1m以上離れて搭乗した際の運搬力もシミュレーションし、台数等を検討すること。
▽厨房の扉は全て自動ドアとすること。
▽バックヤードでは高いレベルの換気力を確保する他、密を避けた席配置を前提とした規模とすること。▽更衣室においても高いレベルの換気力を確保しておくこと。
▽スタッフ用食堂でのクラスターが生じないよう、密を避ける規模と換気力を確保しておくこと。
▽客室通路幅については、顧客がすれ違っても双方が触れず、一定のスペースを確保できるような客室通路幅を検討すること。
▽レストランや宴会場受付場所では、上着や鞄を預かるクローク設置を検討すること。
▽共用トイレは、排水する際に大きなエアロゾルを生じさせないものを検討する他、高い喚起力を有する設備を検討すること。
▽男性用トイレでは小便器間の間隔を十分にとる他、小便器間にパーテーション設置を検討すること。
▽宴会場の天井高は、1名当たりの換気量を勘案し、換気設備水準とのバランスを確認しつつ検討し(最低30㎥/人/時間であるが、できるだけ高い水準が望まれる。)、できるだけ高いレベルとすること。また、テレビ会議を平行して取り込めるハイブリッド型カンファレンス開催ができる設備レベルを検討すること。
▽宴会場テーブルについては、密回避となる収容人数を前提とした場合の席数を想定しておくこと。
▽宴会場でも窓が設置できないか検討すること。
▽ホワイエの外でも外気取り込みが可能なテラス付きを検討すること。
▽宴会場の入り口は密を避けるため複数設置できないか検討すること。
▽宴会場の入場は、グループに分けられるよう小規模個室を収容人数規模に応じて十分な配置を検討すること。
一般社団法人観光品質認証協会 統括理事
㈱サクラクオリティマネジメント 代表取締役
㈱日本ホテルアプレイザル 取締役
不動産鑑定士,MAI,CRE,FRICS 北村 剛史
北村氏