【交通トレンド分析111】米国国内線の回復は想像以上 鳥海高太朗


 私は8月9日からハワイのホノルル、そしてロサンゼルスまで足を伸ばして16日に帰国した。今回、ホノルルからロサンゼルスまでユナイテッド航空のアメリカ国内線を利用したが、機体は国際線仕様のボーイング777―300型機であるにも関わらずアメリカ人観光客で満席だった。

 ホノルルとアメリカ本土を結ぶ路線においては、アメリカの三大航空会社であるユナイテッド航空、デルタ航空、アメリカン航空が運航している。また、ホノルルを拠点にするハワイアン航空、そしてアメリカ本土―ハワイ路線で今一番勢いのあるサウスウエスト航空、さらにアラスカ航空も就航するなど、国際線の路線がわずかな状況が続いていながらも、ホノルル空港では多くのアメリカ人観光客の姿を見ることができた。

 そして、私もホノルルからロサンゼルスへ深夜便で到着したが、早朝6時過ぎにもかかわらずロサンゼルス空港にはアメリカ各地から深夜便(レッドアイと呼ばれている)が続々と到着し、コロナ禍であることを全く感じることない到着ロビーの人の数であった。また、チェックインカウンターにも足を運んでみたが、アメリカ国内を移動する人たちでにぎわっており、国内線の好調を背景にデルタ航空とアメリカン航空が黒字の決算を発表したことも納得することができた。

 デルタ株の感染拡大により、アメリカ国内でも感染者数が増加傾向に転じている。私が訪れたホノルルやロサンゼルスは、屋外でのマスクの着用義務はないが、一定数は外でもマスクの着用をしている人の姿を見ることができた。だが、ワクチン接種をすでに終えている人については、感染者が拡大しても旅行を取り止める傾向はなく、旅行先でもコロナ前と同様に行動する人が多いようだ。

 私はロサンゼルス空港でレンタカーを借りたが、レンタカー会社のカウンターにもアメリカ人の観光客を中心に長い列ができており、レンタカーを使ってアメリカ国内を旅行する流れというのが今まで以上に増えている。アメリカ人にとっても国外に旅行へ出掛けることが難しい状況の中で、ハワイも含めて国内旅行に出かける人が増加し、結果的にアメリカの国内線、そしてホテルの稼働率アップに貢献し、観光業の回復にもつながっている。

 現状、日本国内においては新型コロナウイルス感染者が拡大しているが、ワクチン接種者が増えて、感染拡大が抑えられるようになれば、アメリカ同様にまずは国内需要の回復が期待される。そのタイミングがいつになるのかに注目していきたい。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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