北海道の空の玄関口である新千歳空港と札幌駅を約40分で結ぶJR北海道の快速エアポート。真ん中の4号車は指定席Uシートとして、事前に指定席を予約しておくことで、確実に着席できることで以前から人気がある。インバウンドが増加した際には、発車直前で指定席が満席で買えないことも頻繁に起こっていた。
2000年~14年3月までは指定席料金は300円、その後は14年4月~16年3月25日までは310円だった。私自身も頻繁に利用していたが、指定席が300円程度で利用できるのは非常にお得感があり、ほぼ確実に毎回利用していた。その後16年3月26日から520円に値上げされ、その後消費税の増税があったことで現在では530円となっている。そして今回、JR北海道では同社を取り巻く経営環境の変化を受けて、来年4月1日より310円値上げされ、840円になることが発表された。同時にインターネット予約「えきねっと」を活用したチケットレスサービスを導入することにより、スマートフォンやノートパソコン等を使って予約すれば、指定席券の受け取りなく、ICカード乗車券を活用することで、完全チケットレスで利用できるようになる。
530円という今までの価格に関して、私自身は適正価格だと思っていたが、今回840円に値上げされることによって、今まで指定席を利用していた人たちが値上げした金額でも利用するのか、それとも指定席の利用を止めて自由席に移るのかに注目が集まる。約40分の乗車時間ということを考えると、首都圏で普通列車や快速列車のグリーン車に乗るのと似たような感覚での利用となることが想定される。
私自身が感じることとしては、首都圏での普通列車グリーン車を利用するよりも、快速エアポートの指定席の方が気軽に乗れるというイメージを持っていたが、今後はグリーン車に乗るという感覚で乗車するかしないかを考えることになると思っている。逆に言えば、今までは自由席が空いているときでも、座席がゆったりしていて、テーブルがあることでノートパソコンやタブレットで利用できる指定席を利用する機会も多かったが、今後は自由席が空いているときや時間に余裕があって1本待てば確実に座れるのであれば自由席を使うかもしれないだろう。
約2年前の20年春から従来の15分間隔から12分間隔に20時間台の運転感覚が変わったことで、利便性が向上している。私自身も今後も840円で指定席に乗るか、それとも乗車券のみで乗れる自由席にするか悩むことになるだろう。
(航空、旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)