【交通トレンド分析132】ANAの「鬼滅の刃」コラボ機に期待 鳥海高太朗


 新型コロナウイルスの感染者が減少すれば、間違いなく子どもを中心に利用者を集めることになりそうなのが、1月31日にANAの国内線でデビューした人気アニメ「鬼滅の刃」とANAがコラボレーションした特別塗装機「『鬼滅の刃』じぇっと―壱―」。

 メディア向けの発表会から取材を続け、定期便運航開始初日の1月31日の羽田発福岡行きにも搭乗したが、ファンであれば満足できる素晴らしいものであった。まずは機体デザインであるが、両面で120枚のデカール(シール)を羽田空港内の格納庫で貼り付け、主人公の炭治郎をはじめ、禰豆子、善逸、伊之助などの主要キャラクターがラッピングされた。それだけでもテンションが上がるが、機体には描かれていないが、お披露目会では各キャラクターが着ぐるみで登場し、ANAのパイロット、CA、整備士などのユニフォームを着用した横断幕を持っての記念撮影もあった。

 私はツイッターで投稿したが、鬼滅のキャラクターがANAの制服を着ている横断幕に注目が集まるなど鬼滅の刃人気を改めて感じた。そして機内では、客室乗務員(CA)が禰豆子の着物をイメージしたオリジナルエプロンでサービスをして、オリジナルの紙コップでドリンクが提供されたが、圧巻だったのが機内アナウンス。離陸前と着陸後の2回、機体に描かれている炭治郎、禰豆子、善逸、伊之助の掛け合いによるオリジナルの機内アナウンスが流れた。

 現在、スカイマークで運航中の「ピカチュウジェット」でもピカチュウによる機内アナウンスが流れて話題となったが、今回もファンにとってはたまらないものであり、すでにこのアナウンスが聞きたいために乗ってみたいというファンの声が多く聞かれている。

 このように特別塗装機が就航することで「旅に出かけるきっかけ」の一つとなり、国内旅行需要を増やす可能性を秘めている。そのために、ANAでは通常では事前に運航便を明らかにすることが難しい中、1月31日~2月15日までの16日間、午前中に羽田―福岡線の1往復、午後に羽田―伊丹線の1往復、夕方に羽田―新千歳の1往復に投入することを事前発表した。本来であれば就航初日は、この便を目当てに満席になることが予想されたが、オミクロン株の影響で国内線利用者が大きく減っていることで初便も約半分の搭乗率になったが、感染者数が減少すればこの機体目当てに旅行する人も増えそうだ。

 今は、子どもが休みになる春休みまでに旅行へ出かけられる感染状況になっていてほしいものだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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