【交通トレンド分析142】米国で感じた、諸外国より遅れている海外渡航 鳥海高太朗


 半年ぶりに海外へ出掛けた。目的地はロサンゼルス。JALが設立した国際線中長距離LCCのZIPAIRに乗って、いろいろと調べたかったことに加えて、メジャーリーグが開幕し、大谷翔平選手の試合をロサンゼルスのアナハイムで開幕戦を観戦できる日程で4月7~11日までの2泊5日で訪れた。

 往路のZIPAIRの機内サービス、特に有料機内食は、とてもおいしかったが、こちらは次回以降に触れることにするが、ZIPAIRは、1区間での利用が原則であり、乗り継ぎ用の航空券は販売していない。最近になって国際線同士の乗り継ぎサービスを開始したが、利便上だけでなく、運賃は2区間を足した金額となる。そのような状況もあり、まだ就航してから日が浅いことから私が利用した成田―ロサンゼルス線では日本と米国を往来する利用者がほとんどであり、1便あたりの利用者も50名以下のことが多い。半面、驚いたのがANAやJALなどでは日本―米国便で混雑している便が出始めていることだ。

 私は、スケジュールの都合で帰国便は現地10日発のANAのロサンゼルス発、羽田行きを利用したが、エコノミークラスとプレミアムエコノミーは満席で、ビジネスクラスも9割近く埋まっていた。その理由は、機内を見てすぐに分かった。日本の航空会社の便でありながら、客層は8割が外国人で、日本人は2割程度であり、羽田空港到着後も乗客のほとんどが日本に入国しないで、そのままバンコクやシンガポール、ベトナム、フィリピンなどアジアへの乗り継ぎ客が中心だった。

 現在、日本政府は入国者数を制限しており、1日あたり3500人の時もあったが、3月1日に5千人、3月14日に7千人、そして4月10日からは1万人に引き上げている。それでも日本行きの便を原則、満席で乗せることはできないが、日本に入国せずに成田や羽田で乗り継ぎのみの場合はこの人数には含まれないことから予約を受けることは可能だ。アジアと米国の流動が回復しつつあること、しかしながら便数が限られていることで日本乗り継ぎでのアジアとアメリカの移動が急激に増えている。

 今回は、私自身も往路、ロサンゼルス空港の入国審査も1時間要したが、世界は海外との往来を解禁しつつあり、米国ではワクチン2回接種および日本出発の前日、当日のPCR検査の陰性証明書で入国可能で、到着後の検査もない。

 国によって水際対策の温度差はあるが、海外では想像以上に海外との往来が増えていることを目の当たりにした。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
新聞ご購読のお申し込み

注目のコンテンツ

第38回「にっぽんの温泉100選」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 1位草津、2位道後、3位下呂

2024年度「5つ星の宿」発表!(2024年12月16日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」「5つ星の宿プラチナ」は?

第37回にっぽんの温泉100選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「見所・レジャー&体験」「泉質」「郷土料理・ご当地グルメ」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

2023 年度人気温泉旅館ホテル250選「投票理由別ランキング ベスト100」(2024年1月22日号発表)

  • 「料理」「接客」「温泉・浴場」「施設」「雰囲気」のベスト100軒