8月28日、北海道マラソンが3年ぶりに開催され、北海道外からも多くのランナーが札幌を訪れた。
私自身は、北海道マラソンが終了した日の夜遅くに札幌に到着して1泊したが、午後11時くらいに大通公園や、すすきのなどをカーシェアで走ってみたが、思っていた以上に多くの人が外に出ていた光景に驚いた。深夜に営業している人気ラーメン店へと足を運んでみたが、午後11時半過ぎで行列ができており、30分以上の待ち時間であったことから、私自身は入店を諦めたほどだ。
宿泊した札幌駅近くのホテルの稼働率も高かったのだが、翌午前9時過ぎに札幌駅を出発する小樽行きの「快速エアポート(新千歳空港始発)」に乗車したが、立ち席の状況で、多くがキャリーバッグを持った日本人観光客であった。インバウンド(訪日外国人観光客)が回復していない状況下でここでも驚いた。札幌市内に在住する人に話を聞くと、北海道マラソンで東京や大阪など本州からたくさんの人が訪れているとのこと。フルマラソンへの参加だけでなく、コロナ前同様にマラソン前夜、走った後の夜、さらには翌日にわたって観光したり、飲食をしたりするなど観光地でお金を消費し、札幌市内で2泊するランナーも多くコロナ禍においてはありがたいという声が聞かれた。
ちょうど1年前、札幌では東京オリンピックのマラソン競技が行われたこともあって注目も高く、楽しみにしていた市民ランナーも多かった。SNSを通じて、私の友人も複数人走っていることを知ったが、地方でのマラソン大会は観光面での経済効果は間違いなく大きく、宿泊施設、飲食店、観光スポット、飛行機、鉄道などにとっても大きなプラスとなった。お盆期間のピークも終わり、観光客が少し落ち着くころというタイミングもベストである。
私は、月曜日の新千歳空港午後9時台の夜遅く羽田空港へ戻る便を利用したが、私が搭乗したANA便は満席で、座席が若干不足し、次便にボランティアで変更をお願いするアナウンスが流れるくらいだった。機内には出張者の姿も見られたが、多くは観光客であり、マラソン帰りの人の姿も見られた。ただ、新千歳空港の売店はコロナ前に比べると、営業時間(特に閉店時間)の短縮が続いており、午後8時を過ぎた新千歳空港では開いている土産店は半分以下といったところだろう。
コロナ前に新千歳空港で見られた外国人観光客は現状、ほとんど見られないが、それでもこれだけにぎわっている様子を見て、明らかに動きだしていることを感じたのであった。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)