10月11日から旅行業界にとって待望の「全国旅行支援」が始まることになった。40%割引に加えて、平日3千円・休日千円の地域クーポンが発行されることになる。その中で旅行会社や宿泊施設に加えて、今回の支援策の恩恵を受けそうなのが、航空会社・鉄道会社。理由としては、宿単体で予約した場合の割引金額の上限は1泊当たり5千円であるのに対し、交通付きの旅行商品の割引上限が1泊当たり8千円となっているからだ。
特に人気が出そうなのが「ダイナミックパッケージ」。この10年で定着したツアー商品であり、自由に組み立てしたい個人旅行に近い旅行スタイルで、宿だけでなく、飛行機や新幹線も自由に選べる(便・列車の選び方で価格は変動する)。ダイナミックパッケージは、インターネットでの旅行予約の進化版であり、キャンセル料のルールはツアー商品に準ずるが、それ以外はほぼ個人旅行である。
新幹線を利用したダイナミックパッケージ、飛行機を利用したダイナミックパッケージ共に1泊2日もしくは2泊3日が2万円台で販売されることも多い。これからは紅葉シーズンに入るなど旅行シーズンに入るが、「全国旅行支援」が適用されることで、2万円を切る1万円台で京都へ旅行をできてしまうプランも設定されるはずだ。飛行機を使うプランにおいても2万円以下で旅に出掛けられるケースもありそうだ。
今回、「全国旅行支援」開始に当たり、観光庁でも10月11日から2024年3月までの期間で「平日にもう一泊」キャンペーンを開始し、平日旅行を促進する取り組みを始める。インバウンド復活へ向けて水際対策も10月11日に緩和されるが、本格的なインバウンド復活は来年以降になる中、まだまだ平日の宿泊稼働率が低く、観光庁としても平日の稼働を上げることによって、観光業を盛り上げたいと考えているのだろう。地域クーポンも平日と休日で差をつけたが、ダイナミックパッケージでも明らかに平日の方が割安となっており、平日に旅行へ行ける人は間違いなく平日をおすすめするが、土日休みの会社に勤務している人にとっては、やはりメールや電話が鳴る可能性がある平日よりは週末に旅行する傾向が強い。コロナ禍で外国人観光客がいない中で、平日と週末の稼働率の差が地方の観光地で特に顕著に見られる。
そういった意味でも平日ど真ん中が難しくても、金曜・土曜の1泊2日、日曜・月曜の1泊2日も含めて鉄道や飛行機で旅に出る流れができることを期待したい。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)