【交通トレンド分析183】日曜夜の東京駅、地方へ戻る人でにぎわう 鳥海高太朗


 コロナ禍の国内旅行は東京など首都圏から地方への旅行需要は感染者が少ない状況下での動きがあったが、逆に地方から東京への旅行や出張需要が非常に鈍かった。その大きな理由としては、コロナ禍において地方では東京に出かけて人を快く思わない人も多く、出かけにくい雰囲気が東京などの都心部に比べて色濃くあった。東京へ出かけるだけでなく、東京など首都圏からの帰省においても、近所の目を気にして家族であっても大歓迎で迎えることができず、気づかれないように帰省するといった光景も見られ、中には実家近くのホテルに宿泊して、家族に来てもらうといったケースもあった。

 しかし、昨年夏から、これまで止まっていた地方から東京への旅行や出張が本格的に動き始めた。例えば年末に東京ビッグサイトで開催されるコミックマーケットも通常開催となり、地方からもアニメファンを中心に多くの人が訪れた。

 そして、東京の玄関口である東京駅に2月26日(日)の夕方・夜に行ってみるとキャリーバッグを持った多くの人で大混雑であった。東京駅八重洲南口にある「東京駅JR高速バスターミナル」や東京駅と有楽町駅の中間にある「鍛冶橋駐車場」から発車する夜行バスも混雑しており、コロナ前の状況に戻りつつあるが、筆者が最も驚いたのが夜20時台の東北新幹線「はやぶさ」が指定席、グリーン車、グランクラスの全てが満席になっていたということだ。

 筆者は月曜日に青森県の八戸市で仕事があることから、日曜日の夜に前乗りで八戸へ向かうべく、盛岡以遠では最終となる東京駅20時16分発の「はやぶさ45号」に乗車したが、発車30分前に指定席券売所の上のボードを見ると、全席満席を意味する×の表示になっていた。夕方の下りの新幹線も満席が相次いでいたが、今までのイメージだと地方から東京へ戻る上りの方が混んでいるイメージがあったが、最近の日曜日は上りも下りも混雑している。東京駅の新幹線ホームを見ても、ホームは発車を待つ人に加えて、東京駅に到着した新幹線からも多くの人が降りるなど、まさに旅行にとっては理想的な双方向の需要になっている。

 この光景を見ると、国内旅行においては春休み、GWへ向けてさらに需要回復することになりそうな感じである。
 3月2日からは新幹線を含めてJR東日本全線乗り放題の「鉄道開業150年記念 ファイナル JR東日本パス」の使用期間に入り(3月15日まで)、さらに東京駅をはじめターミナル駅が混み合うことになりそうだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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