東海道新幹線は、東京―名古屋間で6月2日(金)午後から3日(土)の正午ごろまで約22時間にわたって豪雨の影響で運転を見合わせた。主に線状降水帯が静岡県内で発生したことで雨量の規定値を超えたが、ここまで長時間、影響が出ることは事前に想定できなかったことで、いつも通りに新幹線を利用していた人が途中駅で運転見合わせとなり、そこから翌日の正午まで身動きができなかったケースが多発してしまった。その中で改めて重要なのが代替ルートである。
まずは飛行機であるが、関西空港では南海電鉄、JRともに運転を見合わせたことで2日は大きな影響が出たが、伊丹空港、羽田空港においては発着に影響がなく、空路混雑で遅延便は続出していたが、羽田―伊丹線は通常通りに運航された。東海道新幹線の運休が決まり、すぐに飛行機を予約した人も多く、飛行機が予約できた人は東京―大阪間の移動は問題なかった。
事前に予知ができた場合に航空会社も臨時便を設定することもあるが、今回、空港閉鎖はなく運航はしていたが、大雨の影響で遅延が発生していたことに加えて、コロナ禍で機体数を減らしたが、需要の急回復で余剰機材が少なく、乗員にも余裕はないことから臨時便の設定は難しかったようだ。
新幹線が止まり、今回は高速道路も東名高速や新東名高速などを中心に通行止めになったことで高速道路での移動も難しかった。
このような状況の中で、筆者が今後期待している交通手段が北陸新幹線経由での移動である。現在でも可能なルートであり、大阪や京都などから特急「サンダーバード」で金沢まで移動し、金沢から北陸新幹線で東京へ向かうルートである。大阪から金沢まで約2時間40分、金沢から東京まで約2時間半で乗り換えを含めると5時間半~6時間を要するが、運転見合わせになってなければ移動可能となる。
さらに来年春には北陸新幹線が金沢―敦賀間で開業することになり、京都から敦賀まで特急で約55分、大阪から約1時間20分、名古屋から約1時間35分で移動でき、まだダイヤが発表されていないが、敦賀から東京まで新幹線の延伸によって約3時間15分ほどで結ばれ、大阪から敦賀経由の北陸新幹線を使って4時間台後半で東京に戻れることになるだろう。
日本の大動脈である東京―大阪間の移動において、東海道新幹線運転見合わせ時の代替ルートが複数必要であり、そういった意味でも工事が遅れているリニアも含めて選択肢が多いに越したことはないだろう。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)