今年の夏休みに4年ぶりに多くの人が訪れたハワイ。コロナ禍の2020年から21年にかけては、多くの便が欠航となった。入国制限が最も厳しい頃には、日本からホノルルへの直行便が全て運休となり、日本からハワイへ行く場合にロサンゼルスやサンフランシスコ経由で行かなければならない時もあった。私も21年夏からハワイで何度か渡航しているが、ANAやJALなど飛んでいる航空会社であっても週2便程度の運航で、往路は直行便、復路はロサンゼルス経由で戻ったこともあった。
ワクチン接種3回以上で日本帰国時に必要だった帰国前に現地で受けるPCR検査が22年9月に不要となり、ANA、JAL、ハワイアン航空では毎日運航の体制になった。さらに今年4月29日からはワクチン接種回数に関係なく日本に入国できるようになったこと、そしてハワイを含むアメリカに入国する場合において原則ワクチン接種2回以上の入国要件も5月上旬に撤廃されたことで、完全にコロナ前と同じ形でのハワイ旅行が可能となった。
これで完全にコロナ前のように多くの日本人がハワイを訪れることが期待されていたが、円安と物価高がコロナ禍の間に進んでしまい、円安だけでもコロナ前に比べて2~3割の負担増、さらにホテル代や飲食代などを中心に物価が2~3割高騰していることで、現地で使うお金がコロナ前と同じ旅行スタイルであると仮定すると、コロナ前の1.5~2倍の費用がかかってしまう。
さらにロシアとウクライナの戦争によってジェット燃料が高騰したことで、燃油サーチャージも高止まりの状況が続いているが、航空券自体も値上がりしており、コロナ前の閑散期で普通に購入することが可能であった燃油サーチャージや空港税などの諸経費込みで10万円以下の航空券を見つけることは難しくなり、往復15万円前後が相場となっている。それでもハワイを好きな日本人が夏休み期間中は多く利用したことで9割以上の搭乗率だった航空会社もあるなどハワイ需要は高まっている。
そして10月29日にはデルタ航空も羽田―ホノルル線の運航を開始することで、日本―ハワイ線を運航する航空会社は、ANA、JAL、ZIPAIR、ハワイアン航空、デルタ航空の5社となる。
コロナ直前まで運航していた航空会社ではユナイテッド航空と大韓航空が運休しているが、ANA・JAL・ハワイアン航空も増便や大型機材での運航など提供座席数は増えている。座席数が増えることで航空券の価格が下がることに期待したいと思う。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)