今から3年前の2021年3月にJR内房線・外房線・鹿島線に2両編成の各駅停車「E131系」がデビューした。私自身は当時、実家が内房線の青堀駅(千葉県富津市)であったことから、幼い頃から内房線で木更津や千葉、さらには東京方面へ出かける際に利用していたが、普通列車は4両、6両、8両、10両のいずれか、総武線直通の快速列車は11両、15両、京葉線直通列車は10両だった。
房総半島の交通環境は1997年の東京湾アクアライン開通後に大きく変化し、都心とのアクセスの中心が高速バスとなった。結果的にダイヤ改正ごとに最初は特急の本数が減少し、平日は東京―君津間のみとなり、上りは朝のみ、下りは夕方から夜にかけてのみとなり、通勤時間帯のみの運転となった。
そのような状況の中で、21年3月に木更津以遠の各駅停車において、日中時間帯を中心に2両編成となってしまった。これは長年利用してきた人間にとっては衝撃的であったが、東京湾アクアラインおよび千葉県内の高速道路網の整備によって、私自身も君津駅以南で内房線に乗車する機会が激減しているのも事実である。
今回、この話題について取り上げるきっかけになったのが、館山で仕事があり、スケジュールの都合上、往路は車、復路は内房線を使うことになり、仕事を終えてから久しぶりに館山駅から木更津駅まで乗車することになった。10年前までは特急「さざなみ」が1時間に1本あったが、今は土休日のみ運転される「新宿さざなみ」だけが館山駅に乗り入れているが、平日についてはラッシュ時も含めて特急の運転はない。各駅停車のみの利用となる。
そして今回、館山駅から内房線の2両編成に初めて乗車したのだ。私の乗車した列車は館山始発であったが、日中時間帯は外房線の上総一ノ宮駅と内房線の木更津駅を両線の分岐になる安房鴨川駅で乗り換えなしの直通運転となった。そして2両編成になって初めて「ワンマン乗車」となり、各停車駅では開閉ボタンを押すことで扉が開くようになった。
E131系は新型車両でロングシートとクロスシートの併用型で2両編成ではあるがトイレも設置されていた。シートは快適で、座り心地もよかった。運転手のみということもあり、車内アナウンスも基本は自動音声が中心になっていた。ワンマン運転になり、特急が臨時列車以外なくなったことで、少なくても君津―安房鴨川間はローカル線化がより進んだことを実感すると共に高速道路と鉄道が上手に共存してほしいと改めて思ったのであった。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)