新型コロナウイルスの影響で、現在国際線の9割以上が運休している中で、首都圏と成田空港を結んでいるJR東日本の特急「成田エクスプレス」が利用客の減少に伴い、朝晩の一部列車を除き、日中時間帯のほぼ全ての列車で5月1日以降運休する。通常の運転計画では、東京駅から成田空港までの間を1日54本運行する予定だったが、約7割にあたる37本が運休となり、東京駅発成田空港駅行きが8本、成田空港駅発東京駅方面が9本の合計17本のみの運転となる。
成田空港は1978年に開港したが、当時は空港ターミナルに直接乗り入れておらず、JR利用の場合にはJR成田駅からバスを利用するしかなかったが、91年に現在の成田空港第1ターミナル地下に鉄道駅が完成し、JRと京成電鉄が乗り入れた。乗り入れと同時に東京駅から特急「成田エクスプレス」の運転が開始された。今年で成田エクスプレス開業29年になるが、このような形で大量運休になるのは初めてであり、改めて今回の新型コロナウイルスによる影響の大きさを実感するニュースとなった。
また、東京駅から成田空港を結ぶ格安バス「エアポートバス東京・成田」も大幅減便となる。従来の「東京シャトル(京成バス)」と「THEアクセス成田(ビィー・トランセグループ、JRバス関東)」の二つのバスが共同運行を始め、今年2月からほぼ終日10分間隔で運行していたが、大幅な利用者減少から4月までは30分間隔、さらに5月1日からは1時間に1本の運行となり、早朝や夜遅い時間帯は全て運休となり、東京駅発は1日13本、成田空港発は15本の合計28本のみの運行となった。今まで10分間隔でも満席で乗れなかったバスが多い中で、信じられないくらい利用者がいない状況になっている。
私は4月23日に成田空港の三つのターミナルを取材したが、4月上旬に同様に取材した時に比べてさらに人が減っていた。この数週間の大きな変化といえば、ジェットスター・ジャパンやピーチなど国内線のLCCが相次いで減便を発表したことで、すでに9割以上が運休している国際線に加えて、国内線も9割近くが欠航となり、さらに成田空港を利用する人が少なくなってしまった。この他にも都心と成田空港を結ぶリムジンバスも多くの路線で減便や運休となっている。
仮に緊急事態宣言が解除されることになったとしても、海外渡航が問題なくできるのは国内移動よりさらに後ろになることから、残念ながらこの状態がしばらく続くことになりそうだ。何よりも先が見えないのが一番辛いところだ。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)