【交通トレンド分析80】ANAが国内線に国際線機材を投入 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 新型コロナウイルスによる影響でANA、JAL共に国際線では入国制限および日本帰国時に15日間の自主隔離の影響で今でも9割弱の便が運休になっている。従来は国際線の運航の間合いに成田発着便の一部で国際線の機材で運航される国内線もあったが、ANAでは秋以降、中距離国際線路線に投入されているボーイング787―8型機の国際線仕様機を一時的に国内線機に変更。羽田発着路線では新千歳、伊丹、福岡、那覇、石垣島などへ投入している。私自身も11月以降にすでに5回、この飛行機で国内線を利用しているが、ANAホームページで空席照会する場合に機種名に「78M」と書かれている。

 ANAファンにとって、国際線機材で運航されることでうれしいのが国際線ビジネスクラスを国内線上級クラス「プレミアムクラス」として利用できることだ。長距離国際線のフルフラットタイプのビジネスクラスではなく「ANA BUSINESS CRADLE」と呼ばれるシートだが、足下(シートピッチ)が145センチと広く(通常は127センチ)、何よりもリクライニングの角度が通常の「プレミアムクラス」と比較にならないぐらい倒れる。国内線に搭乗しながらも国際線気分を楽しめる快適さがある。また、国内線でも一部機材(ボーイング777―200型機の新造機およびエアバスA321など)でシートテレビも装着されているが、この機体でもシートテレビが装着され、さらにUSB、コンセントの両方で充電が可能だ。大型テーブルもあるので機内でノートパソコンでの作業も十分にこなせる。この原稿も「78M」で石垣島から羽田へ戻る「プレミアムクラス」の機内で書いているが、国際線気分で原稿を書けている。

 機内では軽食に加えて、スパークリングワインやハイボール、ビールなどを飲みながらくつろいでいる旅行者も多く、海外旅行へ出掛けられない今、比較的飛行時間の長い沖縄線や石垣線で利用することで、海外旅行気分も味わうことができる。この機体で運航される便だと人気が集まってしまうと思われがちだが、全体の座席数が240席あるうちの42席がビジネスクラスシートの「プレミアムクラス」であり、過去最大のプレミアムクラス席数を誇ることで意外と予約が取りやすい。ANAマイレージ会員であれば普通席のチケットでもほとんどのチケットで空席があれば追加料金で2日前からアップグレードが可能だ。

 航空会社側にとっても余っている国際線の機体の有効活用にもなり、国際線の便が大きく回復するまでは続くことになりそうだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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