12月24日にピーチが中部国際空港(セントレア)に新たに乗り入れ、同日より新千歳、仙台の2路線に就航し、さらに1月22日には那覇、石垣島の2路線にも就航し、一気に4路線に就航する。他の航空会社では路線撤退が進む中で、国内線だけではあるが積極的な新路線展開を進めているのが現在のピーチである。新型コロナウイルスの影響で国際線の再開のめどが立たない中で、当初2~3年かけて国内線新路線を増やす計画でいたものを国際線の運休によって今年度に前倒しして就航したことをピーチの森健明代表取締役CEOが12月24日に中部国際空港での囲み取材で明らかにした。今回、ピーチでは中部国際空港で夜間駐機をすることになり拠点空港の一つになる。拠点空港は、本社がある関西をはじめ、成田、新千歳、仙台、関西、福岡、那覇に次いで中部は八つ目の拠点空港となる。
国内線の路線数も12月24日現在で28路線となり、1月22日の中部―那覇、中部―石垣島の就航で30路線、2月10日に成田―女満別線で31路線、2月19日に成田―大分線で32路線となる。特に最近では成田空港発着路線を増やしており、コロナ禍の8月に宮崎線と釧路線に就航し、2月に新たに女満別線、大分線に就航するなど一気に4路線を増やし、成田発着の国内路線は14路線となり、ジェットスター・ジャパンを上回る成田発着の路線数となる。ジェットスター・ジャパンは運休便比率もピーチに比べて高く、新規就航路線はなく、逆に庄内線を既に運休しているほか、下地島(宮古島)線についても一部の日のみ運航している状況になっている。
また、発着ターミナルについても関西空港ではLCC専用の第2ターミナルを利用しているが、成田空港では10月25日には従来の第3ターミナルから鉄道駅(成田空港駅)に直結する第1ターミナルに移転するなど利便性を向上させている。また10月末のANAホールディングスの事業構造改革でANAとピーチとの連携を強める方針を明らかにし、片野坂真哉社長は「ANAとピーチの両ブランド間で連携して路線分担の最適化を図っていきたい」という方針の下、今後はANAとピーチの路線重複を減らす方向を明らかにし、ANAとピーチの乗客が共食いにならないように、路線選択やマーケティングの組み立てをしていく上で、羽田発着・伊丹発着路線は今後もANAが中心になるが、関西発着・中部発着・福岡発着路線などはピーチ便での運航が増える可能性が高く、2021年もピーチは国内線を中心とした拡大路線が継続される可能性が高い。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)