【交通トレンド分析86】緊急下も定期列車全て運転の東海道新幹線 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 12月28日からGo Toトラベルが全国一時停止になったことで国内旅行需要がストップしてしまい、さらに1月8日に2回目の緊急事態宣言発令で一部継続されていたビジネス出張需要の多くがなくなり、新幹線や国内線の飛行機では利用者がさらに減少した。しかしながら、新幹線と国内線では、需要減少による本数減に対する考え方が異なっている。

 ANAやJALでは緊急事態宣言発令以降、多くの追加減便が発表され2月は約7割の便が運休。利用できる便は約3割となっている。それに対して東京駅と新大阪駅を結ぶ東海道新幹線については、1月18日以降全ての臨時列車の運転を取りやめるが定期列車については全て予定通り運転している。1月18日から2月28日における1日あたりの平均列車本数は、変更前の345本から309本に減るが、実質1割の運転取りやめにとどまっている。

 私は東京から大阪へ出かける際に飛行機を利用することの方が多く、新幹線の利用は時々であったが、2月6日(土)の朝に大阪のテレビ局で生放送の出演があり、前日5日(金)に大阪へ向かうことになったが、羽田―伊丹線を検索すると、ANAでは日中時間帯は3時間に1本しかなく、JALも2~3時間に1本の便しかない。乗りたい時間に乗ることが難しい状況で、ほぼ従来通りの本数がある新幹線を利用した。「のぞみ」も「ひかり」も東海道新幹線は全ての列車に空席表示が出ており、車内も2割程度の乗車率だった。隣の席はもちろん前後にも空席があったことで「密」になることはなく、快適な移動ができた。テレビ出演が終わり東京へ戻る際にも飛行機利用を検討したが、ANA、JALともに便が少ない上にさらに機体が小型化され、737型機やエアバスA321型機など通常の羽田―伊丹線では投入されない小型機での運航となっていた。機体の小型化である程度の予約が入っていることで土曜日の午後便は空席も少なく、結果的に総合的に新大阪駅に着いた段階でも問題なく指定席の予約ができる東海道新幹線で東京に戻ってきた。航空会社は需要動向に応じて減便や機体の小型化をするなどある程度柔軟に対応できるが、新幹線の場合、折り返し運転や車両運用の問題もあることで、飛行機のように簡単に本数を減らすことができないことに加えて、本数を減らすことによって新幹線車内が密になることを避けたいという思惑もある。

 実際に利用した感覚でいえば、運転本数が維持されていることで、いつも通りに移動できるありがたさを感じたのであった。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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