【交通トレンド分析95】コロナ禍で終わった新幹線の社内販売 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 コロナ禍において、新幹線や特急列車などの車内販売に変化が出ている。東海道・山陽新幹線では従来通りに車内販売のサービスが行われているが、JR東日本管轄の新幹線や特急列車においては、車内販売のサービスが現在一時休止している。2回目の緊急事態宣言が開始した後の1月16日より「はやぶさ」「こまち」「つばさ」「とき」「かがやき」「はくたか」での車内販売を中止した。すでに「やまびこ」「なすの」「たにがわ」などでは車内販売の営業を終了しており、4月13日時点でも新幹線および在来線特急、首都圏の普通列車グリーン車での車内販売は中止のままになっている。

 また、東北・北海道新幹線「はやぶさ」「やまびこ」、北陸新幹線「かがやき」「はくたか」などに設定されているグリーン車よりさらに1ランク上の「グランクラス」は1月16日以降の販売を見合わせていたが、「はやぶさ」「かがやき」「はくたか」の一部列車では3月26日から通常の18席から12席に減らし、専任のアテンダントも従来の2人から1人に減らしてサービスを再開し、軽食などの提供も再開した。ただし、「グランクラス」の飲料、軽食サービスの設定列車が減っていることから、利用したい場合には設定列車を確認しておく必要があるだろう。一部列車では飲み物、軽食なしでのサービスとなっている。その場合はグランクラス料金が異なり、少し割安で利用できることになっている。

 その他の例外としては、昨年デビューしたばかりの在来線特急「サフィール踊り子」については3月26日よりカフェテリア営業と車内販売を再開している。サフィール踊り子では「サフィールPay」と呼ばれるスマートフォンから事前に飲食メニューを予約、決済することで車内でも最低限の接触で可能だ。

 このような形で、JR東日本管内の新幹線や特急列車を利用する場合には基本的に乗車する前に飲み物や食事を購入する必要がある。新幹線に食堂車とビュッフェがあった昔は懐かしく、今は新型コロナウイルスによる影響はあるが、スピードアップによって乗車時間が短くなり、加えて以前に比べると車内販売で購入する人も減っており、車内販売の縮小も一つの時代の流れといってもいいだろう。

 1編成あたりの乗車人数が多い16両編成の東海道新幹線においては、現在も「のぞみ」「ひかり」で車内販売が継続されているがリニア中央新幹線開通後にどうなるのかは分からないが、今後減っていくことは間違いなさそうだ。

(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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