皇族や文豪が愛した伝統ある旅館
90年の歴史を持つ山梨県甲府市湯村温泉の常磐ホテル(笹本健次社長)。アメリカの日本庭園専門誌で3位に選ばれたこともある日本庭園を持ち、「甲府の迎賓館」とも呼ばれる旅館だ。
庭園を囲む全50室の客室は、昨年2月にモダンな和洋室にリニューアルした東館、富士山を遠望する西館、どちらもゆったりとした間取りで上品な和の情緒を感じることができる。
中でも常磐ホテルらしい風情を彩るのは7棟11室の個性豊かな離れ。庭園に面した各離れは、各界の賓客をおもてなししてきた、趣ある数寄屋造りだ。離れ1階の客室は、源泉掛け流しの露天風呂付き客室で、ひのき、陶器、舞台造りなど全て趣が異なる風呂が配され、他の人の目を気にすることなく温泉を満喫することができる。また、将棋・囲碁のタイトル戦が行われる、番勝負の間「九重」も人気が高い。
そんな同館の歴史と魅力を紹介する館内ツアーも毎日開催。多くの皇族や文豪が逗留(とうりゅう)した際のエピソード、そして将棋・囲碁の勝負の記録を展示した「名人の小径」などを紹介するツアーが評判だ。
温泉は男女それぞれ、特徴ある設備となっている。黒い御影石、開放的な窓と広い湯船、壁や天井に木材を使用し、重厚な雰囲気の男性風呂。併設の露天風呂は庭園の中にあり、四季折々の景色を眺めながらくつろげる。女性大浴場は、男性浴場とは対照的な赤い御影石の縁で囲まれた大きな浴槽が魅力。大きな窓からは、採光が豊かに降り注ぐ。また、女性露天風呂には、木の香り豊かなひのき風呂が使われている。
新型コロナ対策も徹底しており、昨年7月には山梨県が独自に策定した感染症予防対策の認証制度「やまなしグリーン・ゾーン認証」の初回認証施設として登録された。
▽常磐ホテルは山梨県甲府市湯村2の5の21。TEL055(254)3111。http://www.tokiwa-hotel.co.jp/
夏の庭園と離れ
離れ露天