【令和時代における交通インフラの人材採用29】コロナウイルス禍でのバス会社の対応 女性バス運転手協会代表理事 中嶋美恵


 先週、当連載の中でコロナウイルスによるバス会社の影響と人材確保についてお話させていただきましたが、その後も状況は好転する見込みはなく、各地で感染者が次々と報告されています。特に人口の多い都市部では感染者数も多く、東京では1日で100名以上の方が感染したというニュースも入ってきました。そんな中、バス業界もコロナウイルスの影響が色濃く出てくるようになりました。まず、高速バスの最大手であるWILLER EXPRESSは4月3日に、翌4月4日から4月30日まで全便を運休すると発表しました。東京―大阪間を中心に日本各地に非常に多くの高速バスを走らせている同社ですが、非常に思い切った、そして重い決断をされたと思います。業界のリーディングカンパニーたる同社のこのような決断を見て、この動きに追従する同業他社も出てくるかもしれません。

 また、路線バスにおいては北陸鉄道のグループ会社の運転手がコロナウイルスに感染。これを受けて北陸鉄道は、当該運転手が乗務したバス路線と時刻を公表し、同時に該当の営業所の全路線を2日間全便運休。さらに、2週間ほど営業所自体を閉鎖した上で、バスは大幅に減便して運行すると発表しました。

 このように、社会の交通インフラとして毎日当たり前に利用する存在だったバスでさえ、コロナウイルスの影響でまともに運行することができなくなってきています。人々の移動を支えてきたバスですが、不要不急の外出を自粛するよう要請されている中で、今後各社がどのような対策を講じてくるか、ひたすら見守るしかないのがとても歯がゆいところです。各社とも車内の徹底した消毒や運転手のマスク着用、手洗いうがいの励行など、コロナウイルス対策を施されているものの、こういったニュースが出てきてしまうのは非常に残念でなりません。

 一方で、アフターコロナのご相談を多くいただいているのも事実です。転職マーケットは、多くの人材が活発に動くようになっており、それはバス運転手においても例外ではありません。こういった状況だからこそ、騒動が収束に向かった際に一気に攻勢をかけられるよう積極的に採用をしていく、という企業もあります。当社も来るべき騒動収束の時に備え、しっかりと採用のお手伝いができるようにしたいと思っています。

(リッツMC代表取締役社長兼女性バス運転手協会代表理事)

 

 
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