2005年、リクルートで営業担当していた某旅行会社のご縁で楽天に転職しました。35歳でのチャレンジ。しかも意に反して入社2カ月で東京転勤。楽天に入社すると楽天トラベルに配属されました。与えられたミッションは高速バス予約サービスを楽天サイト内に立ち上げ軌道に乗せるというもの。楽天バスサービスのスターティングメンバーとなりましたが、転職直後はＩＴ用語が全く分からず、旅行や観光、交通の業務知識や経験もゼロだったためとても苦労しました。
楽天バスサービスの仕事を一言で言うと、全国の高速バス予約を簡単に、そしてお得に楽天トラベルでできるようにすること。サイト構築と同時に高速バスを走らせている企画実施会社やバス事業者に座席在庫を出してもらえるよう案内しました。全国のバス事業者とやりとりする中で、バス事業の面白さや課題を徐々に認識するようになり、スキーバスやプレミアムアウトレット行きバスの企画なども担当しました。当時は高速ツアーバスの時代でしたので、高速ツアーバス連絡協議会の事務局にも関わらせていただきました。
始めは全くバスには興味がなかったのですが、仕事を通じてだんだんとバスに愛着が湧いてくるのを実感しました。今、バス業界でお仕事させていただいている原点はこの「楽天バスサービス」にあります。社内には交通産業や旅行代理店、さまざまなホテルからの転職者が多数おり、穏やかで親切な人に囲まれた居心地の良い部署でした。
楽天バスサービスがようやく軌道に乗った後、楽天オークションを経て、広告事業という楽天グループの広告をまとめて取り扱う部署へ異動しました。楽天では法人営業、代理店営業、営業管理、社長秘書、メディア企画、社員育成などを経験し、11年に6年間勤めた楽天を退職。現在の会社、リッツＭＣを起業しました。この年に発生した東日本大震災がなければ、今も楽天に勤めていたのではないかと思います。津波で全てを失った人、自宅に帰れなくなった人、大切な人を失った人などの報道を見聞きするうちに「このままではだめだな」と思ってしまったのです。阪神大震災の被災者なので当時がフラッシュバックしたからでしょうか。これから歩く人生を方向転換する決意をしました。
（リッツＭＣ代表取締役社長兼女性バス運転手協会代表理事）
