【令和時代における交通インフラの人材採用34】地方のバス運転手不足解消へ(中編) 女性バス運転手協会代表理事 中嶋美恵


 前回、地方のバス運転手確保の事例として高知県のプロジェクトを取り上げました。その内容はWebプロモーション「高知県特集」、バス運転手に特化した就職イベント「どらなびEXPO」への参画、「バス会社営業所見学ツアー」の三つのプログラムですが、今回は高知県のバス運転手に特化した就職イベントへの参画について詳しくご紹介させていただきます。

 大手人材会社の開催する就職イベントは新型コロナウイルスの影響で軒並み中止となっています。5月に大阪、6月に東京で開催予定であった当社主催の「どらなびEXPO」も中止を選択せざるを得ませんでした。このイベントはバス運転手を採用したいバス事業者がブース参画し、バス運転手になりたい求職者が来場し、相互のマッチングを図るという効率的かつ精度が高く、さらに採用コストも安価であり、業界から高評価を頂戴していたものでした。このイベントの大阪会場に昨秋、高知県が参画されました。まずは県庁で県内の参画希望事業者を取りまとめていただきました。事業者により採用事情やスタンスは異なりますので、各社ごとの参画準備が必要ですが、なかなか採用に注力できていなかった事業者、良い方法が見つかっていなかった事業者も、県庁のリーダーシップに合わせ、この機会にぜひにと積極的に取り組んでくださいました。また、県庁自身も高知県の特徴を伝えるブース展開の準備に余念はなく、イベント当日は魅力満載のブースが完成しました。

 前回にも述べましたが、地方がIターン・Uターン採用を成功させようとする時、その会社のプロフィールや仕事内容、労働条件を伝えるだけではまずうまくいきません。それ以前にその土地の風土、人々の暮らし、街の様子、特産品や観光スポットなどその土地ならではの魅力を存分に伝えた上で、転居者をALLウエルカムで受け入れる環境や体制が存在することを積極的にアピールする必要があります。高知県庁の皆さまが非常に真摯(しんし)に取り組まれた本事例は、中長期的に高知県に人材を呼び込む施策として県下のバス運転手不足解消に貢献することでしょう。

 (リッツMC代表取締役社長兼女性バス運転手協会代表理事)

 
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