
望月一栄執行役員
映像ソリューションで日本の元気を取り戻す
――これまでの「NECディスプレイソリューションズ」から2020年11月1日に新生。新会社設立の狙いは。
「これまで当社は映像機器と組み合わされるトータル映像ソリューションを世界中のお客さまに提供してきた。多様化する市場のニーズに応え、さらに提供する価値を高めていくために、シャープとNECがこれまで培ってきたブランド力、技術力を結集して従来にも増した優れた製品、お客さまが求める映像ソリューションを実現し、さらなる発展を目指すことで両社が合意に至ったものである」
――観光市場へはどういう販売展開を。
「昨年はインバウンド需要の増加を想定して『おもてなしソリューション』を第1とした情報提供や地域経済活性化に取り組むデジタルソリューションを計画、提供したがコロナ禍で環境が一変した。当社もテレワーク環境が続き、お客さまに直接ご提案できる機会が減少した。しかし、リモート提案・デモなどでソーシャルディスタンスを守りながら提案活動は戻りつつあり、これからの観光市場へは3密対策を中心に『安全』『安心』を提供できる仕組みを提案していきたい。そのためにニューノーマルに向けた商材についても提供していく」
――コロナ禍の中、旅館・ホテルに提案するソリューションは。
「感染拡大防止のため、旅館・ホテルはこれからも3密対策に対応したサービスが必要であり、当社は映像ソリューションでご要望や期待に応えたい。具体的には、当社ではお客さまの出迎えやおもてなしをスムーズに実現させるデジタルサイネージシステム『AdWindow(アドウィンドウ)』や『美映エル(ミハエル)』のほか、施設内の過密状態を検知し、自動的に警告画面の表示に切り替わる『過入場検知デジタルサイネージ』を用意している。レストラン、ラウンジ、宴会場など不特定多数の来場施設に向け3密対策が可能だ。これらは当社の主力商品である『プロジェクター』『パブリックディスプレイ』『LEDディスプレイ』を活用し実現していく。特に『屋内向けLED―poster』は歓迎看板や施設案内などをより遠くから視認できる製品であり、設置工事不要で提供できる。併せてコロナ対策に向けたコンテンツも豊富に準備しているので導入後すぐにご利用いただける」
「また、ニューノーマルに向けた働き方提案としては、3密回避でリモートワークが必須となる中、テレビ会議では電子黒板『BrainBoard(ブレインボード)』をZoom連携で提案していく。タッチパネル機能をさらに強化し操作性を改善した新商品の『CBシリーズ』も今春追加発売した」
――映像技術の進展によってこれからの観光はどう変わるだろうか。
「昨年は、『未来の旅』IoTおもてなしサービスでNECが南紀白浜エリアで行っている実証実験について紹介した。旅行者が顔認証とクレジットカードを登録することで、空港や宿泊施設、飲食店、商店などで手ぶら、顔パス、キャッシュレスの観光ができるというものだ」
「また、NECはニューノーマル時代の働き方をデジタルトランスフォーメーション(DX)の力で実現するデジタルオフィスのプロジェクトを昨年、本社ビルで始動した。例えば、入退場ゲートではマスクを着用した状態でも複数の人を同時に検出、照合し本人確認が可能であり、通行者の体表面温度を自動測定して感染症対策も同時に行うことが可能になる」
「歩行者のマスク着用有無を検知し未着用の場合は本人に対しその場でアラートを通知することもできる。売店では、レジを通さず手に取った商品を自動決済可能となり、非接触型の安全管理もできる。これらのノウハウは近い将来ホテル・旅館にも応用できる。これからは変革したライフスタイルからより一層安全、安心な社会づくりを意識したサービスが必要となる。われわれはこれらのソリューションが実現できるようビジュアルソリューションの部分で貢献していく」
――21年の年頭に当たり、抱負を。
「昨年はコロナ禍で低迷した国内経済だったが、今年は復調の兆しを見せると予測され、デジタルサイネージ市場も徐々に回復してくると見込まれている。われわれは日本が再び元気を取り戻して安全かつ安心して暮らしていけるよう、感染拡大防止と経済活動の両立した社会創りに貢献していきたい」
【企業情報】
本 社 東京都港区三田1の4の28 三田国際ビル
創 業 2000年1月18日
事業内容 映像表示装置と映像表示ソリューションの開発、製造、販売
資 本 金 30億円
従 業 員 約950人(世界連結)
望月一栄執行役員
▷シャープNECディスプレイソリューションズ