【体験型観光が日本を変える 118】令和の始まりと出来事 体験教育企画社長 藤澤安良


 「平成」時代の終わりに天皇陛下が最後のお言葉を述べられた。とても温かいお言葉であった。日本が直接関わる戦争がなくてよかった。しかし、自然災害は全国各地で起こり、多くの犠牲者を出した。さらには、表面上豊かな国のようではあるが、あまりにも多くの社会問題と国家の借金が置き去りで山積みとなっている。その平成の終わりに、自家用車やバスが暴走し人をはねて死亡、けがをさせてしまうという悲惨な事故が相次いで起こった。

 高齢化が進む中、暴走の原因が運転の判断ミスであったりするならば、個人差はあるものの、ある一定の年齢を超えた時点で、技能や判断力の検査は毎年行うべきである。そして、不適格者の免許書の返納でけじめをつけるべきである。全ては命の尊さから始まる問題である。

 5月1日、厳粛な空気の流れる中、即位の礼が行われ、新天皇が誕生し「令和」がスタートした。4日の一般参賀には早朝から多くの人が皇居を訪れ、全国各地で祝賀ムード一色となった。その令和の時代は、秋に予定されている消費税値上げで10%になり、来年の五輪・パラリンピックと6年後の大阪万博、8年後のリニア新幹線開業と大きな事業が目白押しとなる。

 政治は山積する諸問題を後回しにし、未来にツケを回すことなく、逃げることなく対応しなければならない。渋谷の交差点で多くの人が集まり4月30日夜からカウントダウンを始める。なぜ夜の渋谷なのか。正月三が日やお祭りの日に神社に詣でる。その前後の日は空いていてゆっくり参拝できる。にぎわいを求めるのか、人恋しいのか、同類と同調で安心するのか、日本人特有の気質なのか、つまりは人間は人間がいてこそ成り立っているという証でもある。

 最大10日間のゴールデンウイークは、海外に渡航した人も史上最高となったようだ。私も、高速バスに乗り、JRの特急列車にも乗り、航空機にも乗った。レールと空は渋滞がなく席が取れれば快適であり、席が取れるところへ行けばいいのでないかと思う。

 令和時代に続く課題は地方の存続であろう。経済が起こる観光振興の在り方でもある。田舎で知られていない地域はとても空いている。日本人気質ではないかもしれないが、観光地の喧騒はなく、ゆっくりと時間が流れている。著名観光地でなくていい。空気も、人も、食も、自然も魅力はいっぱいだが、宿泊、体験、飲食、物産などの経済の起こる仕組みづくりと情報発信にかかっている。知られていないから知らせて、人が来ないから、来てもらって、経済的、精神的な活性化を起こすべきであろう。体験型観光振興はその仕組みそのものである。

 いささか自虐的で現存していない「日本知らないまち連合」が活動後に「日本活性中連合」に改称する日を企んでいる。「知られていない・不便」が潜在的価値を持っている。新天皇や令和になっただけでは変わらない。新時代に向かって心機一転、政治と国民の行動力が求められている。

 
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