【体験型観光が日本を変える 121】環境問題に目を向けよう 体験教育企画社長 藤澤安良


 北方領土ビザなし訪問での国会議員の心ない暴言と行状は、元島民の当時の大変な思いを押さえて返還を願い続け、ようやく友好から経済交流の機運が生まれてきた矢先の出来事だ。今日までの努力が水泡に帰さないことや、北方領土は観光資源としての魅力が計り知れないことからも、経済交流での観光がいち早く可能になることを願うばかりである。

 最大手旅行会社の決算での赤字が151億円になったという。外国での現地法人の業績不振といわれている。海外旅行でもオプショナルツアーや食事予約などもネットや現地会社との交渉が容易になり、日本の現地法人にお世話になる機会も少なくなりつつある。日本の大手として国内の仕入れ力がある会社は、増え続ける訪日外国人の現地国発の旅行取り扱いを大々的に行うべきであろう。

 長年、日本からのランドオペレーターとして日本からの送客待ちの仕事感覚から、自らが顧客開拓に向かう姿が求められている。ネット社会の中にあって、生き残りの戦略は人が関わらなければ成立しない旅行分野にこそ、人力を傾注し、業種業態業務内容の抜本的な見直しが急務である。

 まだ梅雨入り前の18日に九州、四国などが豪雨に見舞われ、屋久島では「50年に一度」とされる記録的な大雨となり、一時登山客ら314人が下山できなくなり、19日夕方までに全員が救助された。それは不幸中の幸いであった。

 その後は、5月なのに、地域によっては30度を超える真夏日が5日連続となったり、5月連続記録との最高気温を更新するなど、暑さに慣れないこの時期に熱中症を発症する人が後を絶たない。豪雨、猛暑など異常気象ともいうべき状況が続いており、海面温度の上昇、CO2排出・温暖化などとの因果関係も取り沙汰されている。

 環境問題は他にもあり、先頃、国連の科学者組織が世界で100万種の動植物が絶滅の危機にひんし、人の活動に伴う生態系の喪失がかつてない速度で進んでいると発表した。温暖化の対応と、海のプラスチック汚染の対策が急務だと警鐘を鳴らしている。

 コンビニ弁当の廃棄から値引きを模索していたりしているが、遅きに失した感がある。全人類、全世界国家、全企業が環境問題に取り組まなければならない。あまりにも自社や自己の目先の利益のみを求める組織が多い。少なくとも先進国といわれる日本の政府や企業の取り組みが緩すぎる。 環境問題にあまり興味を示さない米国のトランプ大統領が来日した。この訪日は大統領選挙のために役立つだけでなく、日本のためにもなってほしいものである。今後は、社会生活、政策、企業、教育など全ての分野で環境問題に取り組むように、大きくかじを切る必要がある。旅行産業も然りであり、旅人が自然に接する機会の心構えなどの意識醸成によりモラルやマナーの向上を図り、ツアーの内容や体験プログラムにより環境保全に対する理解を深め、SDGsに向かう必要がある。

 
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