【体験型観光が日本を変える 124】増える虐待を防ぐには 体験教育企画社長 藤澤安良


 虐待による死亡が相次いでいる。死に至った場合の多くは、虐待の兆候が確認され、児童相談所や警察などの訪問で確認できず、何もなかったかのようにかわしていることが多い。また、児相のスタッフも足りないという。未然に防げたはずの事件が多いのが悔やまれる。プライバシーの問題もあるが、命を守るためにもしっかり確認し対応しなければならない。

 いじめの問題も後を絶たないが、いじめは確認できなかったという話ばかりが何年も続いている。人間関係が苦手な教員にとっては関わりたくないし、解決できる自信もないのではないか。結局、なかったことにしたいと責任逃れをしているから、いじめはなくならない。

 犬や猫などへの動物の虐待も報道され続けている。自分の思い通りにいかないことからのストレスはいつの時代にもある。その消化や発散の方法はいろいろあろうとも、他人や動物に迷惑や危害を加えることは許されない。ましてや、命を奪おうなどというのは、人間のすることではない。警察官襲撃拳銃強奪事件は容疑者が逮捕されたが動機の解明が待たれる。根本原因の除去に政治が動かなければならない問題である。

 男女関係のもつれなのか、うまくいかないからといって、殺人にまで及ぶことがあまりにも多い。何も解決しないし、誰もが不幸になるのになぜ起こるのか。感情というやつは、時には理性も道徳もルールもぶち壊してしまう。厄介なものである。組織や企業や人間が、面倒なことやリスクは負いたくないのか、何事にも真正面から向き合うことができていない。逃げてもその事象はなくならない。

 最近、いくつかの企業や組織との商談や交渉において、いつも逃げ口上が「会社の決まりや規則ですから」の一点張りである。お客が納得できない、極めて理不尽な自分や自社都合である。そんな規則やシステムを作ったのは誰なのか。人間だろうし、不具合ならどんどん改善すればよいのだ。

 日本の企業はどこへ進もうとしているのか、守るべきは誰なのか、お金を支払っているのは誰なのか、原点に立ち返って考え直してほしい。おもてなしの国なのに、お客やマーケットの望む姿になっていない。保守的といいながら、守るのは時代やニーズに合わない古い規則であり、お客も組織の未来も守れないことになる。お客の思いをないがしろにした企業が栄えたためしはない。

 人は人なしでは生きていけないのに、わが子や家族に対しても、教え子や同級生に対しても、職場の中でも、人に優しくない。人は人から愛されて優しくされる経験が学びとなっている。愛情や優しさの意味さえ知らないのでないだろうか。全ては、人の心の中にある。人の心が高まる機会が必要になる。それこそが、体験交流に他ならない。

 田舎でも、足の引っ張り合いもねたみもあるが、人と交流しようとする人々は温かくて優しい。また、豊かな自然の中では、変なプライドもエゴも必要がないし、通じもしない。人間らしく生きるには、人に学ぶしかない。人と会う旅こそが必要である。

 
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