【体験型観光が日本を変える 154】冬の集客対策は地域一丸で 体験教育企画社長 藤澤安良


 新型肺炎のコロナウイルスは陽性患者が4万人に迫っている。死者は800人を超え、中国武漢市滞在の日本人が死亡した。横浜港入港のクルージング客の感染が70人を超えるなど、日本でも感染が広がっているのは間違いない。このコロナウイルスのまん延は旅への動機を大きく失うことになっている。

 中国の春節の大移動も出鼻をくじかれた。そうでなくても、ウインタースポーツを除いて日本の観光は非常に薄い。今年に限ってはそのウインタースポーツも例年にない雪不足に見舞われ、営業できないスキー場も少なくない。1月から2月は15都道府県に足を運んでいるが全てに共通するのが、この時期は観光誘客が進まないことだ。

 そのせいで、宿泊施設や観光関連施設が冬季休業や閉鎖をするところも少なくない。しかし、人間は冬眠しているわけではない。寒いからといって家に閉じこもっているばかりではないはずである。

 町並みや神社仏閣などの史跡はほとんど変わらない。新緑や紅葉の山もいいが、落葉の山だから見えるものも感じるものもある。雪が少ない冬山はスノーシューやスノーブーツトレッキングもできる。冬は好まれないようだが、自然は四季折々様相を変える。それにも興味が湧く。何より、どこも混雑することなく空いているのがなによりである。

 交通や宿泊施設の予約も取りやすいし、夜の酒場も貸し切り状態といいことは多い。一方で受け入れ側は、集客数や稼働率が低いという課題がある。過日2月の土曜日に、50人宿泊可能な料理のおいしい漁村の民宿に泊まった。こちらでも、私の他に1組家族のみという状況。

 この時期は夏と同じことは全てないが、味覚は全国の鍋料理「冬鍋」は魅力である。冬ならではの旅の目的を提案しなければ動機付けができない。また、1日数万円しか売り上げがないなら、思い切って格安にすることも動機の一つになる。

 以前に豪雪地帯で冬の平日宿泊を料理もサービスを低下させずに半額で提供したら、毎日満館になり、利益も確実に出て、飲料や売店収入が定額時の2倍になるなど効果は大きかった。その決断をできる経営者は少ない。どうせ空気を泊めているなら少々安くても稼働させて、ランニングコストを稼ぐ戦略が必要である。

 公共交通、レンタカー、宿泊、飲食、観光施設、体験プログラム料金、物産まで1施設1館ではなく地域全体で全てを「2月は2割引き」にするなど、割引率はともかく、地域一丸となって冬対策に挑戦すべきである。とりわけ、航空会社や船舶やバス会社なども法律や意識を変えなければできないこともあるが、このままでいいはずがない。

 冬の魅力発信と旅行費用で冬眠しない地方を取り戻すべきである。冬の魅力が多くの人に伝われば、自ずから冬が見直されることになる。日本の田舎地方に活力を取り戻すには、交流人口拡大=体験交流による観光振興しか残っていない。冬の旅ブームを巻き起こすムーブメントを創るべきである。日本の冬を満喫させたい。

 
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