【体験型観光が日本を変える 157】修学旅行は中止させるな 体験教育企画社長 藤澤安良


 新型コロナウイルスによる肺炎は日本中に拡散しつつあり、学校は休校となり、イベントや会議は中止や延期、スポーツも中止や無観客試合、マラソンは一般選手の出場ができなくなるなど、要請が政府からあった。

 3月第1週に仕事で関西に行ったが、航空機は乗客が少なく、新幹線の「のぞみ」も自由席ががら空きで、大阪の道頓堀かいわいや奈良公園、京都駅周辺など主要ターミナル駅や町の繁華街に、日本人より目立っていた中国や韓国からの渡航者がほとんどいない。

 いくつか泊まった全てのホテルは外国人客は皆無で、日本人も少なく閑散としており、いつもならごった返している朝食レストランは数人という状況である。そんな中、政府が「ここ1~2週間が山場」などと言い、学校が全国休校とう異常事態が混乱を招いている。

 新学期早々から修学旅行が始まる。事前準備ができない現状での4月実施が危うくなり、4月から8月後半や9月に日程変更が始まりだした。中学生の修学旅行のピークを迎える5月の連休明けから6月上旬までは、希望的観測ではあるが、そのままの日程で実施できればいいのだがと、ひとまず静観し判断を先送りしている。

 振り替えの場合、手間は2倍になるが商売は1回しかない。さらには、修学旅行以外のバス遠足や宿泊研修などが延期ではなく中止になる場合も考えられる。私も3月中旬に海外旅行の予定をしていたが、いつ何時入国拒否が出るか分からない状況であり、中止にすることにした。

 いずれにしても、減便が相次ぐ航空業界、乗降客が減り続ける鉄道やバス、あるいは船舶などの交通機関、インバウンドの激減と日本人の自粛で大打撃の宿泊施設は倒産も相次いで起こっている。

 町の居酒屋もカラオケやデパートも、自宅で仕事をしたり、年配者の外出自粛などで大きく売り上げを減少させている。人間はどこにいても食事はするが、それ以外のものは、あるもので間に合わそうとする。旅行は出かけなくても我慢すればよいだけである。従って観光関係の経済の低迷が多くの経営破綻を招きかねない状況がある。

 政府はそれらのつなぎ融資と、終息以降のリベンジ政策が求められることになる。

 例えば、オリンピック後を停滞させないためにも、宿泊券や体験プログラム代金に充当可能な全国共通のクーポン券を旅行が可能な全国民に配布するなどの思い切った政策で観光需要を喚起し、現在のマイナス分のいくらかを取り戻さなければ日本の観光が成り立たなくなる。再び隣国からの観光客がやって来ても多くの宿がつぶれていては受け皿もなくなる。

 国情や外交で大きく入込客数が変化するインバウンドにかじを切りすぎたツケが回ってきている。日本人の暮らしを豊かにし、日本人が特に若者がもっともっと旅をし、全国各地に足を運ぶ国にしなければならない。

 修学旅行は若者の旅の機会であり、社会との接点を築く好機であり、延期ならまだしも、国を挙げて絶対に中止にさせてはならない。

 
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