【体験型観光が日本を変える 173】豪雨災害とコロナ禍 体験体験教育企画社長 藤澤安良


 九州に梅雨前線が停滞し、熊本県南部に猛烈な雨が降った。土砂崩れが発生し、道路が寸断され、急流で知られる球磨川が氾濫、谷間の全てが川と化し、家屋が2階まで水没したり、車も橋までもが流され、多くの犠牲者が出ている。

 一昨年の西日本豪雨水害や、昨年の台風19号の影響で長野県の千曲川の堤防が決壊するなど、広範囲で冠水被害が出た。それ以上に激しい濁流がテレビ映像で確認できた。

 局所に集中する激しい雨の原因である線状降水帯は近年使い出した気象用語であるが、地球温暖化の要因である二酸化炭素(CO2)削減は緊急の課題として取り組まなければ人類存続の危機となる。

 また、映像中の土砂崩れ地域は、総じて森がダムの役割を果たさない、間伐が進んでいないヒノキの人工林であり、森林面積の多い日本の国土保全が大きな課題となる。

 コロナ禍においての避難生活を余儀なくされ、厳しい状況が続いている。犠牲者のご冥福を祈り、一刻も早い復旧復興を願うばかりである。一方で、新型コロナウイルス感染者は世界中で1100万人を超え、拡大し続けている。日本でも非常事態宣言や都道府県をまたいだ移動自粛も、東京アラートも解除され、明らかに多くの人が動き出している。

 その東京では陽性者が連日100人を超え、4月や5月から新たな陽性者がなかった全国各地でも増え続け、再び都道府県をまたいでの移動自粛要請が出ている。誰もが第2波となってほしくはないと思っているが、グラフの形は第2波の坂道を上りだしているようにも思える。

 新型コロナウイルスの宿主は中国のコウモリだとする説が一般的である。つまりは、多くの感染症がそうであったように、こちらも自然界が原因である。人間は、モグラたたきゲームでモグラをたたき続けるかのように、水害が出ればダムや堤防の高さが論じられ、病になれば薬やワクチンが必要という。つまりはその直接原因に目をやるだけではなく、肝心の根本原因の除去に立ち向かわなければならない。

 モグラたたきゲームは電源のコンセントを抜けば出てこなくなるかのように、自然環境保護とCO2削減と森林保全に、日本はもちろん地球全体で取り組まなければならない。2015年に国連で採択された「SDGs」がその柱となる目標指針である。

 しかし、胸に17色のリングバッジを付けている人は増えつつあるが、必ずしもその意味も内容も理解しているわけではない。ましてや具体的な行動を起こしている人や組織はまだまだ少ない。学校教育現場で取り上げようとする動きも少しずつ進んでいるが、こちらも目先の教科学習の進ちょく状況のみに追われている。これらの推進には、現場の体験学習が不可欠であることから、特別教育活動枠の修学旅行等で1泊増やしても取り組む必要がある。学校の意向ではない人類存続のためである。

 旅行会社や受け入れ地域は積極的な「SDGs」推進に向かわなければならない。大水害とコロナが伝えようとしている大切なことである。

 
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