【体験型観光が日本を変える 184】ウィズコロナ時代の生きる道 体験体験教育企画社長 藤澤安良


 新型コロナウイルス禍で、企業の業績悪化は深刻であるのは言うまでもない。報道によると、今年1~8月に休廃業・解散した企業は約3万6千件にも上っている。中でも、旅館・ホテル、飲食などのサービス業は1万1千件を超えている。サービス業の脆弱(ぜいじゃく)な経営基盤を露呈した格好である。

 経済の好転が急務であるが、懸念されるのヨーロッパを中心に感染者が再び増加傾向にあることだ。全世界のコロナ原因死亡者は100万人に迫っている。フランスでは9月に入って感染者は1日に1万7千人にも上っているという。

 ニースの海岸で夏のバカンスを楽しむ様子の映像が流れていた。また、「Go Toイート」のような英国の政策により、多くの人々がレストランに繰り出し、密状態で飲食する姿も捉えていた。その英国は1日6600人を超え、日本の10倍近い感染者数である。開放感なのか、気の緩みというべきか、店側もお客側も全く安全対策が取られている様子はない。感染者が増えるのは当然と思える光景である。

 日本政府は世界159カ国からの来日を、1日あたり観光客を除く千人程度を上限として受け入れる方針である。空港の水際作戦のPCR検査結果は3時間以上を要するが、30分程度で判明する唾液で可能な抗原検査が導入され始めている。入国後の14日間の所在地が必要になるなど、国内での動向を明確に把握してほしいものである。

 そんなコロナ禍の中、いよいよ10月から「Go Toトラベル」キャンペーンは東京都民と東京を目的とした旅行も対象となる。さらには、地域共通クーポンもGo Toイートも始まる。いずれにしても、解禁でも開放でもなく、受け入れ側もお客側も双方コロナ禍の中で、できるだけの安全対策を講じながら、乗り切る姿勢が求められている。

 時折、お客は「面倒だ」「大丈夫だ」などと自己の価値判断で横柄で横着になることがある。コロナ感染防止対策について事前にしっかりと条件提示をし、それに応じた行動をとる理解者だけを受け入れることが、ウィズコロナの生きる道である。人間が命に対してしっかり向き合う機会でもある。

 感染者か否かの判明こそが不安要因である。抗原検査が訪日外国人の入国時にも使われていることからも、修学旅行や募集団体などにも活用を拡大し、一刻も早く安心して元通りの観光を取り戻せる態勢整備を急いでほしいものである。

 行革担当大臣から印鑑を極力なくす方針が打ち出された。持ち出せない社印は会社に行くしかなかったり、多くの人間の決済が必要な書類は、押印する手続きで時間がかかってしまう。テレワークが普及しても、デジタル庁ができても、印鑑の押印が時間短縮や省力化の足かせとなる。

 その意味では、日本の良き印鑑文化を守りつつも、事故やトラブルのないシステムや制度設計をしながら、なくせるものから進めてほしいものである。検査態勢拡大をはじめとする新型コロナの対策も同様に、多くの規制緩和を図りながら、一刻も早い対応を期待したい。

 
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