【体験型観光が日本を変える 192】イートマスクを作ってみては 体験体験教育企画社長 藤澤安良


 新型コロナウイルスによる感染者が全国各地で都市部を中心に増え続け、過去最高を更新し続けている。医療機関への負担も大きく、重症病床が逼迫(ひっぱく)しているとの報道もある中、何かと、注目が集まっている「Go Toキャンペーン」もついに、大阪と札幌が除外地域に入った。

 クラスターや感染者が多い病院や老人福祉施設を除いては、多人数での飲食やカラオケなどにほぼ絞られてきている。私も1人で街中での外食をする機会があるが、隣や向かい側の席とはアクリル板等で仕切られ、ほとんど誰も話している人はなく整然としている状況から感染のリスクは少ないように思う。

 会食での、口に食事を運ぶ以外の時に会話が弾んでいることから、脱着が容易にできる飲食時用のマスクがすでにあるようだが、それらが開発・普及すれば感染者の減少につながるはずである。

 しかし、問題は飲酒の勢いで箍(たが)が緩んで、マスクをせず大声で会話する人が増え、感染防止対策ができていないことにある。それが酒であり、人間の弱さでもある。

 それ故なのか、忘年会シーズンを前にして職場単位の忘年会を中止するとした企業が9割に上るとの報道があった。飲食店は時短要請に続いての大打撃である。前述の飲食用のマスクを仮にイートマスクとすると、店側が常備し、貸し出し着用を義務化し、さらに1グループを4人以内とするなどの条件で、「イートマスクでミニ忘年会」を企画してもいいのではないかと考える。

 飲食店のみならず、コロナ関連の雇い止めが7万3千人を超えた。観光業界ではリストラ計画や減給3割や賞与なしなどが相次いで発表され、Go Toがあるとはいっても厳しい状況が続いている。一方で、治療薬やワクチンの開発競争も激化している。副反応などの安全の確保が万全なワクチンの一刻も早い投与を望みたい。

 外国人の受け入れもビジネスから始まっており、判定が早い抗原検査が使われている。精度の問題は残るとしても、いったんは安心できるのが検査結果で陰性であることだ。国内でも都道府県別のくくりで感染者数を出しているが、その多くは都市部に偏っている。

 全国各地にうかがう中で、都市の交流がストップしている田舎では都市から大学生が里帰りで持ち込んだ例もあるが、2月からまだ1人の感染者も出ていない自治体や広域地域も存在する。

 しかし、修学旅行などのニーズの高い教育民泊は、都市からの生徒を受け入れるには、現状ではリスクが高い故、ほとんどの地域が受け入れを中止している。DMOやコーディネート組織の存続も危うい。現に解散を余儀なくされた組織も存在する。

 地方創生の観点から、なんとしても新年度は受け入れを再開させたい。コロナの終息は時期尚早であろうし、修学旅行生全員に優先的なワクチンの投与か、PCRまたは抗原検査の陰性で受け入れが可能である。20年以上積み上げてきた都市と農山漁村の体験交流の仕組みを持続させるためにも、政治も行政もそれに向かって動いてほしい。

 
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