【体験型観光が日本を変える 193】メリハリと効果的な政策を 体験体験教育企画社長 藤澤安良


 全国各地で新型コロナウイルス感染者数最多を更新する中、医療機関が逼迫(ひっぱく)しており、医療従事者から過酷な労働環境にありながら、給料や賞与が下がるという不条理な状況が放置されている現状が連日報道されている。医療従事者には励ましの言葉や感謝の気持ちも大切だが、給与などの待遇面での国家的な補償や補助が必要である。

 一方で、観光産業への経済効果が大きい「Go Toトラベルキャンペーン」は来年6月末まで延長することになりそうである。そんな中、東京発着で65歳以上の高齢者や基礎疾患のある人の自粛を呼び掛けた。

 しかし、県境を越えての異動で感染しているのは、10~50代が85~90%という調査結果が厚生労働省から発表された。それらの活動する年代が無症状で感染拡大をしていることになる。

 確かに、重症・重篤になる可能性を防ごうとする意味では高齢者だが、感染拡大を防ぐためにも自粛すべきはむしろ10~50代である。つまりは、特定の年齢層ではなく、全ての人の活動自粛が求められている。

 Go Toが延長されるなら、先の経済活性が担保されることとなり、Go Toを年始まで直ちに中断し、感染者を減少させることに注力すべき時である。それは、英断でも勇断でもない。当たり前の常識的な判断である。

 移動が必要な人は当然動き、年末年始に予定している人はGo Toがなくても行くだろう。日本に必要なのはメリハリと効果的な政策である。政治判断に期待したい。

 私が会長を務める「全国ほんもの体験ネットワーク・全国教育民泊協会」の総会を東北から九州まで50人が参加し、懇親パーティーは行わない等の感染防止対策を取りながら福島県南会津町で開催した。

 今年、ほとんどの地域が「教育民泊」の受け入れを中止している中、(1)次年度に向けてどのような準備や態勢整備が必要なのか(2)どのような条件が整えば民泊の受け入れを再開できるのか―などの議論が展開された。

 やはり、再開にはPCRまたは抗原検査の陰性、またはワクチンの投与、希望でしかないが日本に感染者ゼロが続く、このいずれかが条件となる。

 感染者の多い都市の経済に大きな影響を与えているのは当然のことだが、高齢者比率が高いがほとんど感染者もいない地方が交流人口拡大や観光振興が進まず、地方創生の火を消してはならない。その条件が一刻も早く整うよう政治の責任として動いてほしいものである。

 また、販売実績がほとんどないコーディネート組織の運営は財源確保が困難なため極めて厳しい状況にある。会員ではないが、年間数千人の教育民泊を受け入れている組織が解散するという情報もある。受け入れ家庭の確保やコーディネート組織の運営など、受け入れシステムは容易にできるものではない。

 コロナ禍で一時的に厳しい経営環境にあっても過去の労力と未来の可能性を考える時、それらの組織の役割は極めて大きい。よって、コロナ後の地方がボロボロにならず組織継続すべきであり、国や自治体の責任は重い。  

      

 
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