師走に入り、各地に寒波が押し寄せる中、陽光うららかな瀬戸内海で3番目に大きい島、周防大島(山口県周防大島町)で、第22回全国ほんもの体験ネットワークの総会が開催され、全国各地から90人が参加した。来賓として国土交通省中国運輸局の木嶋淳観光部長を迎え、会員である広島湾ベイエリア海生都市圏研究協議会(事務局・広島商工会議所)の中村成朗運営委員長のもとで開催された。協議会傘下の地域の町長や副町長も参加するなど、体験型観光を推進しようとする意識の高さと、今日までの実績の大きさをうかがうことのできる会議となった。
議論の内容は次の通りである。
(1)拡大するインバウンドマーケットの現状とその対応、会員が主たる事業としている体験プログラムの整備と在宅型民家ステイ(教育旅行民泊)の販売と対応の共有(2)民泊新法(住宅宿泊事業法)の2018年6月施行に伴い、マーケットや地域が、当ネットワークの提唱する民泊と、他の民泊を混同しないようにするための取り組み(3)農水省農泊・渚泊推進事業交付金の状況とその課題、対応策(全国213地域の組織に交付されたが、受け入れ先があってもお客がなくては始まらない)(4)子ども農山漁村交流プロジェクトの現状と課題の共有(5)コーディネート組織の許認可や旅行業の取得について(6)相次ぐ大手企業の不祥事など、人間力や企業の体質が問題となる中、教育効果が高い体験プログラムを活用した企業研修マーケットの拡大(日本の社会に必要不可欠となることを見据えた商品整備と営業活動が求められている)(7)学校教育現場での新学習指導要領「主体的・対話的で深い学び」の考え方を受けて、教育旅行での実践的な活用について(8)各地域のコーディネート組織としての運営方法や財源確保について(9)高齢化に拍車がかかる地方にとっての在宅型民家ステイの担い手や体験プログラムインストラクターの確保(若者の参入が不可欠であり、その対策と行動)。
以上のほか、安全安心、教育効果などについて、交流やコミュニケーションが活発に行われた。受け入れ態勢の整備が実績につながっており、担い手の教育研修が極めて大切であるとの認識も共有した。
実に熱心に議論が繰り広げられ、体験型観光振興を通して「地方の力」を「日本の力」としたいとの崇高な理念のもとに結集した人々は、その表情の輝きにさらに磨きがかかった。元気とやる気を充電する機会となる会議となった。
来年3月24日からは、第14回全国ほんもの体験フォーラムin奈良・飛鳥が開催される。さらには、第15回のフォーラムは来年度に長崎県の国境離島、五島市で開催することとなった。いずれのフォーラムにも、全国各地から約千人が参加する予定であり、体験交流により地域振興を推進しようとする志の高い人は、誰でも参加が可能であり、ぜひ参加してほしい。参加者の元気が日本の地方の元気となる。